ご質問をくださった方のご経歴に沿って回答の仕方を変えています
税理士、会計士、企業の経理部の方、法務部の方、事業部の方、役員の方など、様々なバックグラウンドをお持ちの方々から、会計や税務のご質問をお受けしています。
ご質問をくださった方のご経歴にそって、回答の仕方を調整しているのですが、
「おなじバックグラウンドがあると説明が簡潔に済むなぁ」
と思うことがあったので、少し書いてみようと思います。
税理士や会計士向けの説明が一番簡潔で済む
当然かもしれませんが、税理士や会計士向けに、税務や会計の説明をする場面が一番簡潔に済みます。
税理士に会計の説明をする際ですが、税務と同じ考えによっている点は
「税務と同じ考え方ですよ」
で済みます。
違う考えによっている点は、だいたいのパターンで
「会計は法的観点よりも経済的実質を重視するので、法的な観点を重視する税務とはまったく違いますよ」
とお伝えしつつ、会計基準などをお示しすることで済みます。
会計士に税務の説明をする際も同じで、
「会計と同じ考え方ですよ」
と
「税務は会計と違って法的観点も重視するので、会計の経済的実質の考え方とはまったく違いますよ」
でだいたい済みます。
文章で書くと、どれだけ簡潔に済むのかが伝わりにくいかもしれませんが、制度一つ一つを説明することなく、大きな観点からのコンセプトをお伝えするだけで、説明ができるのってすごく大きな違いです。
企業の経理部の方へのご説明
経理のご経験が長い方でも、有資格者や過去に会計士や税理士試験にチャレンジされたことがある方でない場合は、もちろん、過去に実務でご経験された論点などには大変お詳しいのですが、試験勉強のように、基本的な概念の部分や制度全体を学ばれる機会があまりないからか、
「会計と同じ考え方ですよ」
や
「税務と同じ考え方ですよ」
とお伝えしても、
「具体的にはどういうことですか?」
となってしまいますので、このショートカットは使えません。
なので、ご説明を差し上げる際は、回答を端的にお伝えしてから、その理由とコンセプトをお伝えするようにしています。
最後に、
「会計と同じ考え方ですよ」
ないし
「税務と同じ考え方ですよ」
とお伝えしておくと、より俯瞰してご理解いただけることもあるので、最後にちょこっと付けたして、お伝えすることもしています。
法務部の方へのご説明
法務部の方は基本的には税務会計に携われることはないので、導入として税務や会計の根本の部分からお伝えした方が、スムーズにご理解いただけるように感じています。
世の中にはいろいろな法律があり、法律ごとに目的やその目的に沿ったコンセプトがあるので、税務や会計のご質問にお答えした後、頭のなかで、他のいろいろな法律と比較されているのを窺い知ることができるので、見ていて、純粋にすごいなと思います。
(表情などで、あっ、今、比較しているな、と気づけます。)
会計と税務の二つを専門にしているだけで、
「ややこしいなぁ」
と感じているので、
「器用だな」
とも思います。
また、回答にあたっては根拠条文を求められる傾向にもあるので、そういった意味でも、
「会計と同じ考え方ですよ」
や
「税務と同じ考え方ですよ」
とお伝えするだけではご満足していただけないことが多いようにも思います。
事業部や役員の方へのご説明
そもそも会計税務に触れる機会が稀ですし、深い理解はお求めではないことが多く、端的に答えを求められることが多いように思います。
当然ながら、
「会計と同じ考え方ですよ」
や
「税務と同じ考え方ですよ」
といった説明はまったく意味を成しません。
基本的にはキャッシュアウトの観点から気にされることが多いように感じているのですが、役員の方で、より上の層にいらっしゃる場合は、決算書の数値の見え方も気にされたりすることもあります。
このパターンがご説明を差し上げるにあたって、一番複雑で器用さが求められるように感じています。
会議で話しているときに、今どの観点から議論しているかを明確にして話さないと、
「ん?」
みたいな雰囲気になってしまいます。
プロとして簡潔に説明ができるようになりたい
とある読み物で、ベテランの税理士さんが、一つの簡単な図だけを用いて、役員報酬の適正額(税務だけではなく、その他の様々な観点も含めての適正額です)を説明されていて、とてもわかりやすかったという話を読んだことがあります。
これができるようになるためには、
・その制度をいろんな方面から深くたくさん考えて、しっかりと理解する
・その理解に基づいて何度も説明をする
という二つのステップを踏む必要があると考えています。
そして、これを実行するには、結構な時間を要します。
新しい制度などは、読み物を一回読めば、コンセプトは理解できますし、会議などでご説明を差し上げた際に多少うまく伝わらなかったとしても、会議の後に、社内で議論されて消化してくださるといったことがあるので、ついつい、この2つのステップをさぼってしまいます。
「説明を受ける側だったら、何を疑問に思うのだろう?」
といった風に自問自答したりしてみて、士業相手でなくても、分かり易く簡潔に説明できるようにならねば、と思います。
日々精進。