返信がないお客様
2022年3月1日から本格的に自身の事務所を稼働させているのですが、いろいろなお客様と出会い、ご一緒にお仕事をさせていただく機会に恵まれ、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
嬉しい時間、楽しい時間を過ごさせていただけているのですが、すべてのお客様がそうかというと、決してそんなことはありません。
他の開業税理士さんがBLOGで、問い合わせ客から連絡もなしにすっぽかされたといった経験を書かれていらっしゃいますが、まだ、すっぽかしをくらったことはありませんが、本当に、他人を尊重できない人っているんだなということを学んでいます。
- 「開業のご挨拶をさせていただきたく、15分で結構ですので、お時間をいただけませんでしょうか?」とご連絡したところ、「日程を調整して折り返しご連絡します」とおっしゃったまま、ご連絡をいただけない方
(役職者の方だったので、しょうがないかなと思っています。15分ですら、会う価値がないと判断されたということだと思います。秘書の方がCCに入っていたので、失念は生じえないように思っています。) - 開業のご連絡をしたところ、「顧問税理士の変更をご検討中」とご連絡下さり、得意分野を聞かれたので御報告差し上げたものの、その後に音沙汰なしの方
(お眼鏡にかなわなかったのでしょうか。それとも、地域特有の励ましのお言葉なのでしょうか?確かに懸賞などでも当選者にしか連絡がこないので、落選者に連絡がないことは当然なのかもしれません。) - 開業のお祝いの場を開催してくださるという大変嬉しいご提案をいただいたまま、その後何のご連絡もない方
(おそらく、忙しくて忘れ去られてしまったものと思われます。「言わなきゃいいのに」と思ってしまいます。) - 開業のご連絡をしたところ、「ぜひ、お願いしたい仕事がある」とおっしゃってくださったものの、何かしら理由を付けては、伸ばし伸ばしにされる方
(やっぱり委託したくないということであれば、そのようにおっしゃっていただいてまったく問題ございません。)
皆様、社会的にとても偉い方々です。
なので、私のような若手税理士にご返信を頂けただけでも感謝をするべきなのだとは思いますが、私の予定に影響をさせるようなコメント(「候補の日時を2~3ご連絡ください」といったコメント)をされて、そのまま音沙汰なしの場合については、いくら社会的に立場が上であったとしても、さすがに失礼なのではないかと感じています。
別に文面や手段は気にしませんし、問える立場ではございませんが、ただ一言、
「忙しいので、またの機会に。」
とご連絡をいただけないかと思うということです。
ご連絡をいただけないと何が困るかというと、その方のためにブロックしている期間は他の予定を入れられないため、他のお客様の対応のために確保しておきたい期間があっても、そこは使えないということです。
「開業したてでどうせ暇だから、多少ブロックしておいても、まったく連絡をしなくても、問題ないだろ。」
とお考えなのか、それとも、単にずぼらなだけなのかはわかりません。
せっかく、ポジティブなご連絡をいただけたので、こういった方々にもしっかりと対応をしていこうという姿勢でこれまでいたのですが、もう止めようと決意しました。
非常に丁寧なご連絡をいただけるお客様
上記はほんの一握りの事例でしかなく、そのほかの方々は、とても丁寧なご連絡とご対応をいただけております。
不思議だなと思うのが、より大きな組織で重要なポジションにつかれている方(私が思うによりお忙しい方)であるほど、丁寧なご対応をしてくださるという点です。
明らかにお忙しいであろう方でも、お時間を作ってくださいましたし、即レスが不要な他愛もないご連絡であっても、すぐにリアクションをしてくださいます。
また、うまく今後のお付き合いにつながるように橋渡しもしてくださいます。
かなりの規模の会社の場合、たとえ公認会計士や税理士であったとしても、契約をする、取引を行うためには、相当なハードルがあるのではないかと思っています。
少なくとも稟議や決裁は必要なはずで、
「村上がどのような人間なのか?」
「変な人間ではないのか?」
「村上と契約とすると、どのようなベネフィットが企業にあるのか?」
をご説明して下さっているのだと思っています。
過去に私とご一緒されたことのある方への承認依頼であれば、
「以前、〇〇の件で対応いただいた方ですよ。」
で済むのかもしれませんが、まったく私をご存じではない方に説明をするとなると、
「随分と若い方だけど、本当に大丈夫なの?」
といった反応は必ず起きるのではないかと思います。
私が承認者だったら、絶対にそのような考えが頭をよぎると思いますし、申請者に聞くと思います。
なので、私のことを思い出してくださって、ご連絡をくださって、社内の調整をしてくださって、といった風に、私を大切にしてくださるお客様には本当に感謝しかないですし、このような方からご依頼いただいた案件に対しては全力を尽くします。
(もちろん、すべての案件で全力を尽くしますが、勢いというかスピードというか、全く別物のサービスのクオリティになります。)
申告書の作成は単なる計算ではないと思います
これは独立前からずっと感じており、独立後により強く感じているのですが、申告書の作成が単なる計算だと思われている方が結構いらっしゃるように思います。
経理や税務に明るくない方であれば、しょうがないと思いますが、意外なことに経理部の方であっても、そのように思われている方がいらっしゃいます。
単なる計算であれば、ご自身で対応されればいいのではないかと思うのですが、なんで委託をしようと考えるのかが理解できません。
自社では対応しきれないような専門的な知識や経験が必要となる業務なので、ご依頼を頂けているのではないかと思っているのですが、自分でもできるけど、自分でやるような業務ではないので、税理士にやらせているといった感覚なのでしょうか。
こういった方は、手続きにしても、申告書の作成にしても、異常に期限が短かったりします。
もしかしたら、ご経験がない分野なので勘所がないだけだったりするのかもしれないので、普段対応されている分野とは別物であることや、別途対応が求められる内容などをお伝えするのですが、それでもまだなお、
「申告書作るだけでしょ?」
といった反応だったりします。
組織再編があった時の申告書がいい例なように思います。
合併があった事業年度の申告書の作成を、通常の申告書の作成料で対応してもらえると思うと大間違いですし、顧問先でもない会社で、バリバリ稼働している会社の申告を1週間かそこらで対応なんて出来っこありません。
月次監査やこれまでの申告業務で必要な情報やリスクの有無を事前に把握できているので、多少は期間が短くても対応できるのです。
過去に、
「合併があった事業年度の申告を顧問税理士が降りたので、申告期限まで1週間しかないが、申告書の作成をお願いできないか?」
というご依頼を頂いたことがあります。
「決算書は会社がしっかりと作成しているので、チェック不要で、組織再編についても、論点はないので、大丈夫です。」
とのことでした。
何か危ない感じがするなと思って、結果お受けすることはなかったのですが、その後の申告期限ぎりぎりで、この申告を受けた税理士と会社とで、組織再編の処理を巡って意見が一致しなくて困っているという連絡が来ました。
受けなくて良かったと思いましたし、「論点はないから」「簡単だから」といった言葉を鵜呑みにしてはいけないなと心から思いました。
過去にご一緒したことがあって、その方が、しっかりとした税務の知識と経験がおありで、信頼できるということがわかっており、単にその方が忙しくて受けきれないという状況であれば、おそらくその方を信じて、お受けすると思います。
そうではない方が
「大丈夫」
とおっしゃっても、
「申し訳ありませんが、信じられません。」
というのが実際のところではないかと思います。
というか、信頼できる方は、受けるか否かの判断にあたって必要となるであろう情報はたいてい事前にご共有していただけます。
そこからまず違います。
何の具体的な情報をよこすことなく、「簡単だから」「大丈夫」といったことを、言ってくる人は信用してはいけないと思っています。
申告書の作成がおかしな状況になっているように思います
スタートアップであったり(大抵赤字。消費税免税。)、事業規模がそこまで大きくない会社(税金と交際費を加算して所得計算完了。)といった会社の申告業務であれば、事務員さんをたくさん雇っていらっしゃる会計事務所さんにご依頼をされれば、格安で申告業務を受けてくださるのかもしれませんが、それと同じ値段とスケジュールの感覚で、ちゃんとした申告業務を期待されるのって、さすがにおかしいのではないかと思っています。
申告業務って、形には残らない、税務判断が山のように積み重なって、出来るものです。
いちいち、何々を検討して、こういった結論となりました、なんて、報告されてもお客さんにとって、何ら有用なものではないので、そんなことをしていないと思いますが、あまりにも申告業務をなめている方々が多いように感じていますので、いっそ、税務DDばりの報告書を付けてしまおうかと考えたこともあります。
素人では、到底思いが及ばない論点であったり、派生的な論点も事前に検討を行ったうえで、
「安全なので、進んで大丈夫ですよ。」
と自信を持ってお伝えできるようにしているのが、申告業務だと思います。
人を変えることはできない
長々と愚痴のようなことを書いてしまいましたが、常に頭に置いている言葉として
「人を変えることはできない」
があります。
これは、国税に在籍していた時に、私が楯突いた幹部職員から頂いた言葉です。
どこの組織にも、働かないおじさんっていると思いますが、そんなおじさんがなぜか、給与面で良い待遇を受けてしまったということがありました。
単にその部門の統括官が、しっかりと自身の部門の職員を見られていなかっただけなのですが、
「なぜ、働く気がさらさらないおじさんが優遇を受けるのだ?」
と、幹部職員に楯突いたわけです。
当時のこの仕組みは、優遇を受けていない方が順繰りで受けることができるという仕組みでした。
人事評価の実際のところを踏まえると、ある意味では平等なようにも思えるのですが、当時の私には理解不能であったため、幹部職員に評価がおかしいのではないかと楯突いたということです。
その時、幹部の方が、
「村上くんね。人は変えることはできないんだよ。自分を変えることはできるけど。」
と諭してくれたわけですが、当時はそのアドバイスを消化しきれなかったこともあり、そのおじさんをなんとかして真面目に働かせようとしましたが、無駄な努力に終わりました。
今思うと、そのおじさんからすると、それぞれ、事情があって、そうなっている(そのような働き方をしている)のであって、それを外部からとやかく言われたくない、ということなのかなと思います。
この経験をしてからは、他人が変わることを期待することは止めました。
そもそも、私の考えが100%正しいという保証はどこにもありませんし。
事務所のオーナーなのだから決断をするのが仕事
これまでは、従業員のような働き方しかしてきませんでしたので、経営の判断や決断といった経験はありません。
たとえ、対応に難儀するクライアントがいたとしても、パートナーがゴーサインを出せば、私は粛々とパートナーの指示に従うわけです。
ただし、今は独立開業して、吹けば飛ぶような事務所とはいえ、事務所のオーナーです。
なので、どのようなクライアントとお付き合いしていくかの判断や、お断りのご連絡をするという、できれば避けたい対応も、オーナーとしてする必要があります。
「もしかしたら、」
といった希望的観測にしがみついて、日和っていたのですが、
「そんなことでは、駄目だ。しっかりしろ。NOという場面ではしっかりとNOと言おう。」
と決断をしたので、この記事に残させていただきました。
この決断があっているのか、間違っているのかは、まったくわかりません。
後悔だけはしないように、一つ一つの決断を慎重に行っていこうと思います。
日々精進。