租税研究2023年4月号
「租税研究」という専門誌を購読しています。
内容は他の専門誌に比べると、アカデミックな内容が多いのですが、たくさんの気づきを与えてくれるので重宝しています。
今月号では、「大規模法人の法人税申告に当たっての留意事項」という、毎年恒例の講演録がありました。
登壇者は国税局の職員さんです。
私が国税に在籍していた頃の、この手のスピーチというと、原稿があって、それをそのまんま読むというのがスタンダードだったように思うのですが、この講演では、背景事情などちょっとしたおまけの内容を話してくれたりするので、毎回チェックをするようにしています。
留意事項といっても、毎年頻繁に変わるものでもないように思うのですが、話す内容も、その年その年で少しずつ変えているようです。
不要な別表調整を入れてしまう
詳細は実際に購読していただければと思いますが、よくある誤り事例として、別表4と5(1)の検算が合わない場合に、無理くり合わせようとして、不要な別表調整を入れてしまうという事例が紹介されていました。
税法決算でやっている会社の場合、別表調整が損金不算入の税金の加算処理と、交際費の加算・流出処理くらいしかないので、基本的には別表4と5(1)の検算は一致します。
(還付申告の場合は還付金額分、検算が合わなくなります。)
ところが、ある程度の規模になり、欠損填補をしたり、資本剰余金を原資とする配当をしたり、合併をしたりすると、検算が合わない場面がけっこう出てきます。
イメージとしては、別表4の加減算を通らずに別表5(1)の数値が動くパターンですね。
合わなくなるパターンをご存じでないと、検算が合わないと、どこか間違っているのかな?と考えてしまうということなのかなと思います。
助けを求める先がなかったのでしょうか
この業界に身を置いていると、間違った申告書を目にする機会がたくさんあります。
そのたびに思うのが、この申告書の作成を担当された方は、助けを求める先がなかったのだろうか?ということです。
申告書の作成って、システムを使っていれば、さくっと出来てしまうように思われている節があるように、なんとなくですが、思います。
別表は本当によくできているのですが、よくできているがゆえに、その仕組みをちゃんと理解するのは結構難儀しますし、時間もかかります。
なので、別表調整がわからないことって、割と普通なことなのかなと思っているわけです。
そして、この不要な別表調整を入れた方は、助けを求める先がなかったのかなぁ、、なんて勝手に心配をしてしまいます。
税理士として働いている人はプロなので、別表調整はできるのだと思いますが、会社にお勤めの方にそこまで求めるのは少し酷なように思うわけです。
日々精進。