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繰越欠損金をうまく使いたいという相談

法人税のはなし

繰越欠損金をうまく使いたい

知り合いの会計士から割とよく受ける質問なのですが、

「繰越欠損金をうまく使いたいのだが、何かいい手法がないか?」

という質問があります。

うまく使うというのは、たとえば赤字と黒字の兄弟会社があったとして、事業上の理由から会社を分けているので、合併などをせずに、赤字の会社にたまった繰越欠損金を黒字の会社で使えないかという相談です。

持ち株関係を変えたり、そのほかの再編(分割など)や連結納税だったりを駆使して何とかならないかということのようなのですが、結論としては、そのような手法はなく、無理だと思っています。

この質問、私自身も相談を受けたことがあり、他の専門家も交えて、かなり複雑なスキームも含めてかなりの時間をかけて検討したことがありますが、どうやっても一点の曇りもない状態で繰越欠損金が使えるような状況にすることはできないというのが、そのときの結論でした。

繰越欠損金のそもそも

繰越欠損金の議論をするときに、当然に控除されるべきものといった前提で話すので、

「なんで控除できないんだ?」

みたいな感じになってしまっているように思っています。

そもそも繰越欠損金って、本来は課税所得の計算上は考慮されないものだと理解しています。

そうはいっても、過去の赤字をまったく考慮しないのも、税負担に不均衡が生じるので、一定程度は考慮しましょうということで、繰越欠損金という制度があるということです。

法人税における各事業年度の課税所得は各事業年度ごとに独立して計算することを原則としており,前期からの繰越利益金又は繰越欠損金は当期の所得計算とは無関係というのが建前である。これを「事業年度独立の原則」という。

しかしながら,ある事業年度で欠損金額が生じた場合に,事業年度独立の原則を厳格に貫いて,その欠損金を他の事業年度の利益金額と通算することをまったく認めないこととしたときは,企業資本の維持を阻害することにもなり,また,利益や欠損の発生状況いかんで税負担に著しい不均衡が生ずることが考えられる。
(「法人税法<平成29年度版>」渡辺淑夫著 743頁 )

過去は関係なく、単年度の状況で所得計算をすべきという建前が、正しいのか正しくないのかは措いておいて、この考えをベースにすると、

「繰越欠損金って繰り越せること自体が特別な制度なんだなぁ」

という感覚から議論をスタートできるのではないかと思っています。

税法は完ぺきではありません

まれに精緻に税法を研究された方(研究者という意味ではなく、法の不備を見つけるという意味においてです)が、ものすごいスキームを提案しているのを見たりします。
(見たことがあるのは、繰越欠損金に関するものではないです。)

「よく、見つけたなぁ~」

と思いますが、正直なところ、限りなく黒に近いグレーであるため、

「条文に基づいて説明はできませんが、絶対にやめておいたほうがいいですよ」

と思います。

仮に、条文と照らし合わせつつ精緻に検討をしたとしても、問題はないという結論になるのだろうと思います。

ただ、「明らかに危ないぞ、これ。。。」と感じます。

繰越欠損金の質問をされている方は、おそらくですが、顧問税理士などの他の専門家にも同様の質問をされており、答えが芳しくなかったので、いろいろな方にお聞きになられているのではないかと推察いたします。

税の専門家がそろって同じ結論になったということは、まっとうなやり方では、解決法はない、つまり、限りなく黒に近いグレーのやり方くらいしか、解決法はないということなのではないかと思っています。

聞かれた側は、
「あぁ、、またこの質問かぁ~。無理なのはわかっているのだけど、結論だけ伝えると、なんで無理なんですか?みたいな話になって、結局、同じ検討を繰り返すことになって、お互いにとって不幸にしかならないんだよな。どうやって伝えるといいかなぁ~」
なんて考えていたりします。

繰越欠損金見合いの損は一応は生じえます

一応は、赤字の会社の株式を売れば、赤字見合いの売却損が生じると思います。

ただ、事業を行っていくうえで必要な会社なので、赤字でも保有し続けているということですので、事業を継続し続ける限りは赤字の会社の株式を売るということはない、ということになります。

実現することのない含み損を抱えた資産ということですね。

なので、納税者からしたら、実質的にはこの損失はないようなものなので、目につきやすい繰越欠損金の有効活用が気になるのではないかと思っています。

この論点は、どうもお役に立てそうにありません。

面目ない。

日々精進。

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