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【法人税】支配関係の判定がややこしい

会計のはなし

判定方法がたくさんあります

連結納税制度や適格合併など、さまざまな制度で支配関係の判定が必要になりますが、いろいろなご質問をお受けしていて、カオスだなぁと、最近思いました。

いっちょ整理してみるかとリサーチに着手したのですが、判定に個人や外国法人を含めて良いのか?兄弟会社をそのまま買ってきた場合に支配関係の継続はあると言えるのか?など思っていたよりも論点があり、調べれば調べるほど、複雑であることがわかりました。

税法だけでもかなり複雑ですが、会計の判定も含めると、さらに複雑になってしまいます。

ざっくりとした記載すぎて、自分向けになってしまっていますが、表で整理するとおおむね下記のようになりました。
(実際にご検討されるにあたっては、ご自身で根拠条文等にあたるなど、適切なご対応をお願いいたします。)

制度 定義 頂点
共通支配下の取引 同一の株主 個人法人問わず、外国企業も含む
連結会計 会社及び会社に準ずる事業体 法人
連結納税制度 連結完全支配関係 内国法人
グループ法人税制 一の者 個人と内国法人
適格再編 一の者 個人と内国法人
未処理欠損金額の引継制限 一の者 個人と内国法人

支配の主体が個人から内国法人となってもOK

移転価格(「国外関連者」) 「持株関係」と「実質的支配関係」 法人

連結会計に似ている

共通支配下の取引

まずは会計から整理してみようと思います。

共通支配下の取引の定義は、下記の通り「同一の株主により」とされています(企業結合に関する会計基準 第16項)。

「共通支配下の取引」とは、結合当事企業(又は事業)のすべてが、企業結合の前後で同一の株主により最終的に支配され、かつ、その支配が一時的ではない場合の企業結合をいう。親会社と子会社の合併及び子会社同士の合併は、共通支配下の取引に含まれる。

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/ketsugou_20190422.pdf

そして、企業結合会計適用指針435項において、外国企業や個人であっても支配の主体となることが説明されています。

支配の主体である「企業」には、親会社が公開企業である場合のほか、非公開企業や外国企業の場合も含まれるものと考えられる。また、企業集団は支配により形成されていることを考えると、支配の主体が企業であれ、個人であれ本質的な差異はない。

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/20190704_20.pdf

よって、共通支配下の取引に該当するかの判定においては、個人や外国企業を頂点とする支配関係においても適用があるということとなります。

連結会計

次に連結会計について調べてみました。

まず「親会社」と「子会社」について下記のとおり定義されていました(連結会計基準第6項)。

「親会社」とは、他の企業の財務及び営業又は事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関をいう。以下「意思決定機関」という。)を支配している企業をいい、「子会社」とは、当該他の企業をいう。

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/20200331_06.pdf

そして、「企業」については下記のとおり定義されています(連結会計基準第5項)。

「企業」とは、会社及び会社に準ずる事業体をいい、会社、組合その他これらに準ずる事業体(外国におけるこれらに相当するものを含む。)を指す。

よって、親会社が個人とはなりえません(当たりまえですかね、、)。

ちなみに、連結会計基準には、実質支配基準(連結会計基準第7項)があるので、親会社が子会社を0%保有するという連結もありえます。

0%連結には、一度だけ実務でお目にかかったことがあるのですが、結構レアケースだと思います。

連結納税制度

次は税務を見ていこうと思います。

連結納税制度は、連結完全支配関係がある内国法人間に適用されます(法人税法2条十二の七の七)。

連結会計が「企業」としており、外国法人や様々な組織体を含むのに対して、連結納税制度は「内国法人間」に限定されています。

日本の税法で、法人に関する制度なので当たり前といえば当たりまえなのですが、昔読んだ、連結会計と連結納税に関する書籍なんかでも、この違いは、必ずと言っていいほど取り上げられていたように思います。

なお、令和4年4月1日以後に開始する事業年度から、グループ通算制度が始まりますが、こちらについては、国税庁が公表している概要が参考になると思います。

「グループ通算制度の概要 令和2年4月」https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei2020/pdf/01.pdf

グループ法人税制

グループ法人税制は、内国法人が一定の資産を完全支配関係のある他の内国法人に譲渡した場合などに適用があります(法人税法61条の13第1項)。

「完全支配関係」とは下記の通りとされています(法人税法2条十二の七の六)。

完全支配関係とは、一の者が法人の発行済株式若しくは出資(その法人が有する自己の株式又は出資を除きます。以下「発行済株式等」といいます。)の全部を直接若しくは間接に保有する一定の関係又は一の者との間にその一定の関係がある法人相互の関係とされています。

完全支配関係と連結完全支配関係の意義|国税庁

「一の者」とされていますので、個人を頂点とするグループにおいても適用がある制度です(グループ法人税制のすべての制度についてではありません)。

会計の共通支配下の取引の判定と、とても似ているように思います。

グループ法人税制が導入される前は、連結会計と連結納税はまったく違いますよという説明だけで済んだので非常にわかりやすかったのですが、グループ法人税制が導入されたあたりから、説明がややこしくなったように思っています。

複雑すぎて質問が多かったからか、グループ法人税制の制度ごとに、適用対象法人や完全支配関係に関する制限がまとめられた資料を、国税庁が公表していました。

「問5 グループ法人税制の適用対象法人等の比較」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/100810/pdf/05.pdf

適格再編

適格再編の判定においても、グループ法人税制と同様に「完全支配関係」とされていますので、個人を頂点とするグループにおいても適用があります(法人税法2条十二の八など)。

参考になる質疑応答事例があります。

「株主が個人である場合の同一の者による完全支配関係について」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/33/42.htm

未処理欠損金額の引継制限

適格再編が行われた場合であっても、繰越欠損金を引き継ぐためには、一般的には5年間の支配継続要件を満たす必要があるのですが、この要件については、「支配関係」とされています(法人税法57条3項)。

「支配関係」についても、「一の者が」とされていますので(法人税法2条十二の七の五)、個人を頂点とするグループにおいても要件を満たしえます。

ちなみに兄弟会社をそっくりそのまま買ってきた場合であっても、買収前から支配関係が継続しているのであれば、この要件を満たすことができるとのことです。

「株式の保有関係が変更している場合の青色欠損金額の引継ぎ」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/33/17.htm

「株式の保有関係が変更している場合の支配関係の継続要件の判定について」https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/hojin/171212/besshi.htm#a02

移転価格

最後に、移転価格税制の「国外関連者」についてです。

「国外関連者」とは以下の通りです。

外国法人で、法人との間に、持株関係、実質的支配関係又はそれらが連鎖する関係の「特殊の関係」のあるもの

「持株関係」と「実質的支配関係」は下記のとおりです。

持株関係とは、
(1)いわゆる「親子関係」として、二の法人のいずれか一方が他方の法人の発行済株式等の50%以上の株式等を直接又は間接に保有する関係をいい、
また、
(2)いわゆる「兄弟関係」として、二の法人が同一の者によってそれぞれその発行済株式等の50%以上の株式等を直接又は間接に保有される関係をいいます

実質的支配関係とは、例えば、他方の法人の役員の2分の1以上又は代表権を有する社員が、一方の法人の役員若しくは使用人を兼務している等の事実により、二の法人のいずれか一方の法人が他方の法人の事業の方針の全部又は一部につき実質的に決定できる関係をいいます

用語の解説|国税庁

連結会計の支配の判定に似ているように思います。

この規定を見た時、「税法なのに、ふわっとしている!!」と、とても驚きました。

日本国内で完結する制度ではないので、連結納税制度や適格再編のような配慮は不要だったということですかね。

知識の整理にと思って書いてみましたが、あんまりきれいにならなかったように思います。

「わかるでしょ?」と言わんばかりに、さらっと聞かれたりするので、この整理がいつか役に立てばいいなと思います。

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