電話対応は生産性を下げる
週刊東洋経済(2022年3月5日特大号)に、
「電話対応をやめると“得する”これだけの理由」
という題名の記事がありました。
電話代行サービス事業を行っている会社の方に聞いた話が記事の内容なのですが、
「オフィスにかかってくる電話のおおよそ8割が『営業電話』」
と判明しているそうです。
以前所属していた事務所では、HPに個人の直通の電話番号が記載されていましたが、営業の電話が結構かかってきましたし、以前は私の個人事務所のHPに携帯電話の番号を記載していたのですが、営業の電話ばかりかかってくるので、記載を止めました。
また、
「業務を中断されることで生産性を下げる懸念」
もあるそうです。
電話を受けると、その都度、応対者は作業を止めることとなりますし、作業を再開するにしても、すぐに元通りにはならず、まず、
「どんな作業をしていたのだっけ」
と思い出して、それから作業を再開となりますので、
「確かに業務の効率を悪くしているなぁ」
と思います。
税務署への電話
今は、税務相談センターが出来て、一般的な税務相談については税務相談センターの職員が対応しているので、状況が劇的に変わりましたが、私が税務署に初めて配属になった頃(15年くらい前)は、それぞれの税務署の職員が電話対応をしていました。
税務署に配属されたばかりの新人の役割は、電話対応はもちろんのこと、郵便物の開封作業(いつ、だれから、どのような書類が送付され、いつ返送したかを記録する紙を作ったりしていました)をしたり、申告書をOCRに読み込ませるための補完記入(売上高など、法人税の申告書の別表1(1)の右上の欄です)を行ったりです。
このような事務作業をやりつつ、電話を受けては、集中が切れるということを繰り返すこととなり、マルチタスクをこなすスキルと、机の上を常に整頓して作業するというスキルは身についたのですが、めちゃくちゃ神経を使いますし、
「作業効率が悪いなぁ」
と当時思っていました。
メリットもありました
ただ、電話対応はデメリットばかりではなく、新社会人にとっては電話応対の実践練習になりますし、何よりも、税法の質問を納税者から実際に受けることで、税法を勉強するモチベーション(というか、電話を取るのが怖すぎるので、必死になって勉強をしていました)になっていたように思います。
また、税制改正などで手続き面の改正が入ったりした場合に、納税者の方から同じような質問を受けるので、実際に税務の手続きをされる人たちが、どのような点に疑問を持つのかといった感覚を身に着けることができたように思います。
電話対応のために、朝早く来て、法人税や消費税など法人に関連する質疑応答集を頭から一問ずつひたすら読み続けるといったことを当時していたのですが、このような苦行を継続できたのも、電話対応だったように思い、納税者の利便性や国税職員の作業効率の観点からは相談センターで対応した方がいいとは思うものの、少し寂しく思います。
日々精進。