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【税務調査】業界理解を事前にしっかりとせずに、税務調査にお邪魔しているのが実情ではないかと思います

税務調査のはなし

とある会計士さんのブログ

とある著名な会計士さんのブログをいつも拝見しているのですが、この方の法人に対して税務調査が行われたらしく、調査官の対応についてお怒りになられていました。

「調査するなら、相手の事業内容やらビジネスモデルやら、最低限のことを調べてから来たらどうなのか。常識外の質問の連続に疲労困憊じゃ。」

とのことでしたので、事前に業界の情報などを調べることなく、調査官は臨場をしたのではないかと思われます。

記事を読むに、おそらくですが、上席さん(上席国税調査官)が調査にお伺いしたようで、

「20年も公務員をやっているポンコツなもので・・・」

といった発言からして、あまりやる気があるタイプの調査官ではなかったようです。

記事を読んで、

「本当にごめんなさい、、」

という気持ちでいっぱいになりました。

と、同時にどうしてこうなってしまうのかについて、電車の中でいろいろと考えてみましたので、書いてみようと思います。
(調査官を擁護するつもりは毛頭なく、そういえば自分が調査をやっていた頃、こうだったなぁくらいのものです。また、情報が古いので、今はだいぶ変わっているかもしれません。)

税務署とインターネット

意外かもしれませんが、税務職員が使っているPCはインターネットにつながっていません(物理的に遮断するのが一番のセキュリティです。)。

ですので、税務調査に行く会社の情報をインターネットで調べたいときは、共用のPC(私が在籍していた署は一台だけでした)を使う必要があり、そのためには、PCの利用簿に日付や目的を記載してから、PCを利用します。
(記憶は定かではありませんが、さすがに決裁までは受けていなかったと思います)

一台しかありませんので、誰かが使用しているときは使えませんし、いろいろと不便なので、あまり積極的にインターネット用のPCは使用していませんでした。

「携帯で調べればいいではないか?」

と思われるかもしれませんが、

「携帯をいじっている=業務外のことをしている=職務専念義務違反だ!!」

みたいな雰囲気があり、たとえ職務に関することを調べるためであっても、携帯を使うことは憚れる雰囲気にありましたので、携帯で調べるといったこともしていませんでした。
(当時、スマホは存在していなかったので、現在に比べると、携帯はメールと電話のためのツールといった感じでもありましたし。)

あと、これは私がそのように感じただけなのですが、

「会社の業界のことなどは税務調査の概況聴取の際に聞けばよく、事前に調べる必要まではない」

といった雰囲気がどことなくあったように思います。

ちなみに国税局の調査部には、市販されている業種本(就職活動をしている学生が読むような、業種ごとに出版されている書籍です)が置かれているのを見たことがありますので、読んでから調査に臨まれているのだと思います(きっと。)。

監査法人での業界理解

監査法人では貸与PCはインターネットにつながっていますので、クライアントやその業界について、インターネットで調べることが可能です。
(転職直後、自分のPCでインターネットが使えることに、とても感動したのを覚えています。)

また、監査計画あたりの監査調書を見れば、どのような競合がいるのかであったり、業界の情勢などが記載されているので、それを読めば、大まかな業界理解はできます。

大きな業種の括りではありますが、業種ごとの会計の本が大手監査法人から出版されていますので、それを読むことで、業種ごとの特殊な取引の概要や、それらに関する会計上の論点を把握することもできます。

定期的に監査チームのメンバーは入れ替わっているものの、基本的には継続して同じクライアントを担当するので、日々の監査手続きのほか、内部統制監査や経営者ディスカッションなどで業界知識を蓄えることもできます。

業界理解をすることで税務調査はより効果的になるのか?

たとえば、リベートの取引慣行など、業界特有の取引などを理解・把握しておくことで、売上の申告漏れなどをより効果的に見つけられるようには思います。

ただ、どちらかというと、広く一般に行われている取引についての税務の観点からの指摘ポイントが、研修などを通じて調査官に共有され、それを課税しているのが主なように思っています。

いろいろな取引に興味をもって、税務の論点が生じるうる取引を開拓しようといった調査官もいらっしゃるとは思いますが、実際のところは少数派なのではないかと思います。

ちなみに

「効率的になるか?」

という点については、

「効率的になる」

と思います。

私は税務調査先の選定を自分でしていたのですが、たとえば、

歯材卸→歯医者→歯科技工士→歯科医療機器の販売業者→歯医者→他の医者(眼科など)

といった風に関連する業種で選定したりしていました。

そのほか、

宝石の原石の輸入業者→研磨等の加工業者→卸売業者→小売業者→中古品の買い取り・リフォーム業者→地金の買い取り業者

といったこともしてみたのですが、自然と業界用語も身に付きますし、実際に取引を見聞きして、チェックするので、業界にかなり詳しくなれました。

と、上記は税務調査を2~3年程度経験していたくらいのときですので、やる気がかなりありましたし、私が若いこともあって、親のようにいろいろと教えてくれる経営者の方も多く、純粋に仕事を楽しんでいたから出来たということかもしれません。

もっと長い期間、たとえば10年間くらい税務調査だけをしていたら、私も、件の調査官のようになっていたかもしれません。

いずれにしても、事前準備は大切だと思います。肝に銘じます。

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