自分の当たり前は他の人の当たり前ではない
会計・税務の業界に身を置いて、約20年が経ちました。
いろいろと経験をさせてもらい、いろいろなことを学んできたので、結構幅広な知識と経験を持っていると思っています。
リアルな経験を積むことって大切だと思っているので、積極的にそうしてきたのですが、ここにきて、これが少し悪影響を起こしているように感じています。
というのも、当たり前と思える範囲が異常に広がってしまい、そして、それが、他の人にとっても当たり前だと無意識に考えてしまうようになってしまったからです。
本当に純粋に質問をしてきているパターン
税理士としてやっていて、あるあるの相談で、
「どうにかして税額を減らす方法はないか?」
というものがあります。
「ないです。あったら、みんなやっていますよね。」
が回答になるわけですが、この質問って、質問者の方って意外と本当に純粋に疑問に思って聞いてきているパターンもあるわけです。
それをちゃんと意識できれば、
「ないんですよ~。」
と優しく回答も出来そうですし、そうすべきだとも思うのですが、やはり何度も似たような質問を受け続けていると、ついつい、
「また、この質問か、、、」
といった対応となってしまいます。
反省です。。
会計でもあるあるの質問があります。
「どうやったら利益が早く計上できるか?」
ですとか、
「どうやったら連結から外せるか?」
とかです。
それが出来ると信じて、なぞのコンサルタントが提案した変なスキームを実行して、後々バレてえらい目にあっている事例なんて、そこら中に転がっていると思うのですが、こういった事例は意識していないと気づかないものなんですよね。たぶん。
借入金の返済はなぜ費用じゃないのか?
ふと、税務調査をしていた頃を思い出しました。
税務調査でも税理士の立ち会いがない場合もあるのですが、その際に、会社の代表者の方が放った質問が、
「借入金の返済はお金が出て行っているのに、なぜ費用にならないのか?」
というものでした。
個人的には非常に良い質問だと思っています。
真面目に答えようとすると、専門用語を使わずに説明をすることがとても難しいことに気づけます。
「負債が減少するだけなので。」
が通じるのは、簿記の知識がある方に対してのみですので、この場面においてはこの説明は適切ではありません。
では、どのように説明をすれば良いかと言うと、
「じゃ、借入れした時はお金が増えているんで、借り入れたお金を儲けにして、税金払いましょうか。」
と質問で返すと、すっと納得していただけたのを記憶しています。
実は、この説明、先輩からの受け売りなのですが、初めてこの返しを使ってうまくいったときに、
「やっぱり説明って理屈じゃないんだなぁ~。」
と思ったのを覚えています。
そう、理屈じゃないんです。
(これまで、理屈が最も重視される、少し変わった世界に身を置いていたので、感覚を改める必要がありそうです。)
個人事務所を本格稼働して、まだ一年と少しですが、それでも、質問のパターンと言いますか、仕事の話をしていて受けるリアクションのパターンのようなものが、だんだんと見えてきました。
理屈ではない、うまい返しを見つけなければいけないですね。
日々精進。