印紙税を間違って貼ってしまった場合
印紙税を貼付する必要がない文書に誤って印紙を貼り付けてしまったときや、印紙税額を誤ってしまった場合は、印紙税過誤納確認申請書を提出することで印紙税の還付を受けることができます。
手続き関係は下記です。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/inshi/annai/23120083.htm
よくある間違いは下記です。
- 両者が押印している契約書について、作り直しなどの理由で、使用しなくなったため、還付を受けようとする(納税義務が成立しているため、押印後のものは還付の対象となりません)
- 契約書の作成者の住所が申請を受けた税務署の管轄外(納税者からしたら、どこで還付を受けようが同じ国の財布だろ?という感覚。わからなくもないですが、管轄外のものについては還付できません。)
よくある間違いではないですが、下記黄色ハイライトのケースも見たことがあります。
(参考「印紙税の還付が受けられる範囲」)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/06/18.htm
会計士試験の申込時に願書に約2万円の収入印紙を貼りますが(懐かしい)、何らかの理由でこの願書が使われなくなったとしても、願書に貼りつけられている印紙は過誤納還付申請の対象となりません。
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/qanda/index.html#gaiyou
還付申請書の受付までけっこう時間がかかります
私が税務署に勤めていた頃は、書面を窓口に持参されるのが一般的だったんですが、今は郵送をお願いしているようです。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/inshi/annai/pdf/yusou.pdf
還付申請に慣れている会社さんの場合は、申請書の記載ミスなどがほぼないですし、還付申請の対象となる書面も、過去に検討済みですのでいいのですが、申請が初めての方の場合、まず、書き方をお伝えして書いていただき、
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/inshi/annai/pdf/23120083.pdf
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/inshi/pdf/23120083-2.pdf
(「印紙税過誤納確認申請(兼充当請求)書」記載例)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/tebiki/pdf/04.pdf
その間に還付の申請となる契約書が本当に還付できるのか?(そもそも課税文書に該当しないか、納税義務が成立しているため還付の対象にならないのではないか、作成地は管轄内か、時効は来ていないかなど)を検討しておき、
申請書を書き終えていただいた後に、決裁をもらって、
決裁が完了した後に、契約書に貼付されている印紙に還付済みであることを示す印を押して、申請書の下部の欄に、発遣番号という一連の番号を記載して、署長印を押印する必要があります。
何が言いたいのかというと、見えないところで、若手職員が還付のために税務署内を走り回っているということです。
実際の待ち時間(所要時間)は、銀行に行って、新規で口座開設だったりの何らかの手続きをすると、結構待たされるように思いますが、あれに近しいのではないかと思います。
念のためですが、税務署の窓口で現金を受け取れるわけではなく、銀行振り込みです。
郵送だと、郵送コストは多少かかりますが、申請者にとっても、税務署でやることもなく、椅子に座って待つ必要もないですし、税務署にとっても、間違いを防ぐことにつながりますし、不必要に若手職員を走らせることもなくなるので、郵送の方がお互いにとっていいように思います。
印紙税額が少額の場合は申請を行うか検討した方が良いです
法人税等の税務調査の際に、ついでと言った感じで、
「印紙を間違って貼ってしまったのだが、どうやったら還付を受けられるのか?」
と聞かれることがありました。
誰もが一度は聞いたことがあるような大企業などの場合は、契約書の作成通数がそれなりですので、還付の対象となる契約書もかなりの量になる(私が見たことがあるのは、数カ月おきに、スーツケースにパンパンに契約書が入っていました。数千通はあったんじゃないかなと思います。)ので、手間暇をかけるメリットがあると思うのですが、200円だったり1,000円の印紙の間違いの場合は、いっそ、ほったらかしておくほうが、税務署までの電車代や手間暇を考えると、損をしないように思っています。
なので、聞かれた際は、税務署に行く用事があるときで時間に余裕があるときは還付申請した方がいいですが、特に用事がないときは、あんまりおすすめできないですよと答えていました。
税務職員らしからぬ回答なのかもしれませんが、
みなさん、
「確かにそうですね。」
といったリアクションをされていました。
未使用の印紙税はどうしたら良いのか?
あまり知られていないのですが、現金への交換はできないこととなっています。
そして、税務署にお問合せいただくことがよくありましたが、交換は郵便局で行うこととなります。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7130.htm
高額印紙の場合は、一枚当たり5円の手数料がかかっても許容範囲だと思いますが、200円の印紙が大量にある場合は、手数料で結構損したなという印象を受けるらしいです。
(自身で経験がないため「らしい」という表現。)
交換の対象となるものは下記のとおりです。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/inshi/pdf/kanpu.pdf
還付申請について書いてみてわかりましたが、普段から仕事としてやっている側にある程度の期間いると、ちょいちょいと申請書を作成できるようになりますが、数年に一回であったり、初めての場合は結構難儀しそうですね。
印紙税の記事を書き始めたきっかけについては下記の記事をご覧ください。
日々精進。
2024年7月2日に「税務調査を今一度ちゃんと考えてみる本」(税務経理協会様)が発売されます。