在外子会社とのコミュニケーションは難しい
海外在住の弁護士さんから、
「日本の親会社と在外子会社とで、月次なり四半期なりで会計のやりとりが生じるが、コミュニケーションがうまくいかず大変だった。」
という話を聞きました。
お話を聞くに、諸外国との会計実務の違い(システム化の進捗度合いや税制の違いなど)も、その要因の一つだとは思われるものの、どうやら言葉の壁が原因のようでした。
Google翻訳の出番
商社や製造業などは在外子会社を保有していることが多いので、そこにお勤めの経理の方は、皆さん、英語でのコミュニケーションが対応可能なのだと、勝手に思い込んでいました。
たまたま、グローバルに展開している製造業の経理部にお勤めだった方とお話する機会があったので、どうやって在外子会社の方とコミュニケーションをとっていたのか聞いてみたところ、
「基本的には連結パッケージなどに数値を入力してもらうため、定型の業務が多い。」
「入力された数値を見て、疑問点などがあれば、質問をするが、その時はGoogle翻訳を使っていた。」
とのことでした。
長い文章だと、翻訳の精度が落ちるが、短い文章であれば、特に問題はないとのことです。
駐在員を通してコミュニケーション
件の弁護士さんから、
「日本本社の方はなぜか駐在員を通じて、コミュニケーションをとりたがり、現地の職員との直接のやりとりを避けるんです。」
といったお話も聞いていたので、なぜなのかを、件の経理経験者の方に聞いてみたところ、
「駐在員の方は当然英語が出来るので、その方に日本語で説明をして、その方が英語でコミュニケーションをとった方が、スムーズだから。」
とのことでした。
日本語でコミュニケーションをしても難しい
会計や税務に日常的に携わっていない方に、日本語でそれらを説明するのですら、結構難儀することがあります。
専門用語が多いということもありますが、我々が普段、当たり前と思っていることがあたりまえではないからだと思っています。
会計監査や税務調査などで、経理に慣れていない方に(配属されたばかりの新人さんなど)、
「この経費のチェックをしたいので、証憑をご準備願います。」
とお伝えしたとすると、会計伝票のみが提出されたり、または、振り込み事績がわかる資料のみが提出されることがあります。
「経費のチェックをしたい」
という言葉には、
「社内で作成されたものではなく、外部が作成したもので取引の中身がわかる資料を出してください。」
という意味が含まれているのですが、それが、うまく伝わっていないということです。
ちなみに、会計監査では、請求書などの証憑だけでOKなことが多いですが、税務調査では、納品書や決済資料も提出を求めることが一般的です。
(一連の流れを見て、異常な点がないか確認するためです。)
言葉の背後にあるものを察知して対応をしてもらえないと、やりとりがスムーズに進みません。
このように、日本語ですらコミュニケーションが難しいので、まったくの想像に過ぎませんが、駐在員の方を通した時点で、おそらく、この伝言ゲームはうまくいかなくなってしまっているのではないかと思います。
英語が話せる人を求めているのではないんです
話は変わりますが、以前、
「英語でコミュニケーションが可能で、資産税がわかる人を探している。」
と話したところ、
「通訳を雇えばいいじゃないですか?」
と言われたことがあります。
そうじゃないんですよね。
ただ、英語が話せる人を求めているのではないんです。
(通訳の方をどうこういうつもりはまったくなく、通訳の方に業界の常識まで踏まえて、通訳してくれと言うのは、違うんじゃないかと言うことです。)
なので、Google翻訳に完全に依拠はミスコミュニケーションのもと
Google翻訳に頼りたくなる気持ち、めっちゃわかります。
特に、業務がパンパンなときに、知らない単語を一つ一つ調べて、読んでみて、理解して、返事を書くために、また単語を調べてなんてしていたら、時間がかかりすぎて、にっちもさっちもいかないと思います。
ただ、少しずつでもいいので、自分で文章を書いてみるなどしてみないと、ずっと、ミスコミュニケーションが解消されないようにも思っています。
日々精進。