国税庁のウェブサイトの英語版
国税庁のウェブサイトの英語版があり、税務特有の表現や、お堅い表現を勉強するために、時間があれば読むようにしています。
National Tax Agency JAPAN (nta.go.jp)
何のためかと言うと、英語で日本の税務を説明するトレーニングの一環なのですが、日本語で日本の税務を学んだ時と同じで、まずはお堅い表現で学んで、適切な表現や言い回しを理解したうえで、実際の説明においてはかみ砕いて説明をするという手順を踏む必要があると考えているためです。
外国税額控除の説明など、日本語でも説明に難儀する項目もちゃんと説明されており(分かり易さは措いておいて)、結構しっかりできているなという印象です。
読み手を意識した説明になっているか?
「Information about Income Tax」というカテゴリーがあり、タックスアンサーの英語版みたいなページがあります。
そのページにある説明を頭から読んでいるのですが、さすがにこれは必要ないのではないかと思わされる説明がありました。
個人事業主の必要経費(所得から控除できる経費)はどのようなものがあるかの説明にあった、この文章です。
「Bribes provided to civil servants are not necessary expenses.」
(「公務員への賄賂は必要経費ではありません。」所得から控除できませんという意味です。)
https://www.nta.go.jp/english/taxes/individual/12015.htm
外国人の方が読まれることを想定したページですので、これを読んだ外国人の方が
「日本という国は、賄賂が一般的なのか。」
なんて、思ってしまわないか心配です。
タックスアンサーと同様に網羅的に説明をする必要はなく、
「読み手にとって必要な情報にフォーカスして説明をすればいいんじゃないか?」
と思うのですが。
個人的にはおもしろかったので良いですが、
「国税庁が公表する情報としては、どうなのかなぁ。」
と思ってしまいます。
びっくり。日本語版にも同じ説明がありました。
もしかして、日本語版の説明にも同じことが書いてありはしないかと思い、探してみましたところ、ありました。同じ説明が。
No.2210 やさしい必要経費の知識|国税庁 (nta.go.jp)
この情報の題目は「やさしい必要経費の知識」です。
どう見ても、税務に明るくない方向けの情報で、読み手も、税理士などが読むような専門的な情報が書かれているなんて、まったく期待していないと思います。
考え得る、この記載をした理由として、もしも、賄賂を必要経費にしれっと入れていた納税者がいたとして、
「この情報に、賄賂が必要経費にならないとは書かれていないから、必要経費に含まれるべきだ。」
みたいなことをいってくることがないようにするということが、考えられますが(公務員の発想ってこんな感じです)、繰り返しになりますが、誰の目から見ても、税務に明るくない方向けの情報ですし、条文などのしっかりとした根拠があれば、ここにあえて書く必要はないのではないかと思います。
読み手を意識することを意識する
このブログは割と好き勝手に書いていますが、雑誌への寄稿などでは、読み手を意識するようにしています。
だだだっと、粗々のドラフトを書いた段階では、意識せずに書いていますので、意識的に、
「読み手に取って有用なことが書いてあるか?」
「どのように見えるか?」
をゆっくりと考えてみる時間を設けています。
それでもまだやはり、独りよがりな文章を書いてしまいがちですので、自戒の意味も込めて書いてみました。
日々精進。