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【税務調査】国税局の調査と税務署の調査は違うのか?

税務調査のはなし

国税局の調査と税務署の調査は違うのか?

国税在籍時にも上司や先輩などからよく聞いた話なのですが、国税局の調査は厳しいし調査官のレベルも高いけれど、税務署の調査はそうでもないという話があります。

端的に言うと

「本質的には大して変わらない。」

と思っています。

調査官の年齢が署の調査官に比べて高いため、昔ながらの高圧的な調査をする担当官がまだいらっしゃいますが(このような方にお会いするとノスタルジアを感じます。)、こういった意味では国税局の調査は厳しいのかもしれません。

結局はみな同じ国税職員

税務調査を担当している職員は国税局であっても税務署であっても、みな同じく社会に出てから国税局に採用となり研修等を経て実務経験を積んできた人たちです。
(再チャレもありますが、割愛します。)

職業全般に言えることだと思いますが、同じ組織に属している職員はみな同じようなマインドを持っていると思いますし、調査手法も細かな違いを除けば税務署と国税局とで大きな違いはないように感じています。

実際、統括国税実査官部門や調査部の税務調査対応をしたことがありますが、

「特に違いなし」

というのが正直な感想でした。
(質問の仕方、依頼する書類のあたりの付け方、調査の進め方などを観察してみたのですが、署との違いは特に感じませんでした。)

あえて、違いを挙げるならば税務調査に対するやる気が違うように思います。

「国税局で税務調査をしている=俺たちは選ばれたんだ!!」

といった感じでしょうか。

あとは、不思議な職員にあたる確率が少ないです。
(または、あたっても基本的には組調査ですので、不思議な職員だけで調査を進めることは基本的にはないです。)

国税調査官(税務調査をする側)の視点から見た、署と局の税務調査

税務署の調査の場合、調査先の会社の規模感がそこまで大きくありませんので、顧問税理士がほぼすべての取引に目を通していることもよくありましたし(記帳も受けているからですかね)、海外取引等のとっつきにくいと感じるような取引も少ないので、指摘事項がまったくないということもよくありました。
(赤字法人に対する棚卸計上漏れなどの粗末な指摘を除きます。赤消し。)

対して、調査部の管轄になるような規模の会社(売上高数百億~数千億円規模)は、経理担当者が税務に対応しきれていないような状況もままあり、この規模になると顧問税理士もカバーしきれず、

「なんでこんな間違いをしているの!?!?」

といった指摘事項を見聞きすることがありました。

税務のQA本などを読んで、論点となる事項をざっくりと知っていれば、間違いを指摘できるような状況もよくあるように感じています。

書類がないからこそ難しい

税務署が管轄している法人はそもそも書類が整っていない状況がよくあることを挙げて、書類がない中での判断をするのが税務署の調査で、国税局が管轄している法人に対する調査は、書類が整っているのは当たり前で、それをどう解釈するのかが調査部の調査だと聞いたこともあります。

これについては、書類が無い状況であるべき判断する方がよほど難しいのではないかと思っています。

書類がないからと言って、それを理由にして調査官の側で一方的に決めつけて課税できるわけがなく、納税者にも顧問税理士にも誤りであることをご理解いただく必要があります。

そのためには、判断の拠り所となる証拠を集める必要がありますし、判断の材料となりうる資料が全くない場合には、取引慣習などの知識を総動員して、税務調査を進めることとなります。

これらは書籍で学んで身につくものではありませんし、経験がものを言うように思います。

更正処分は大変だと思っていたが

税務署が更正処分をする場合は、否認内容にもよりますが、国税局の審理課などにお伺いをする必要があります。

国税在籍時に更正処分の可否について局へお伺いをしたことがあるのですが、

「間接証拠しかなく、直接証拠がないため更正処分は難しい」

であったり(間接証拠しかない状況なんていくらでも生じうると思うのですが。。)、

「証拠書類の厚さが足りないから更正処分を出来るような事案ではない」

といった理由で、更正処分をさせてもらえなかったことがありました。
(厚ければよかったんですかね。どーでもいい資料もつければいくらでも厚くはできるんですが。中身が伴いませんけど。)

税務調査手法の研修などで、

「更正通知書の理由付記に耐えられるような証拠収集をせよ」

と指導を受けていたので、

「国税局の調査では相当丁寧な証拠収集を行って、直接証拠をそろえて、分厚い決裁資料を作成して、練りに練った更正処分の理由書を作成して、更正処分を行っているのだろう」

と思っていました。

ところがどっこい、税務調査対応などをしていくなかで、調査官へ提出した証拠書類の控えのデータを見たり、更正処分の通知書を見たりしていくなかで、どうもそのような状況にはないように感じています。

推測に過ぎませんが、証拠収集について、審理課から指摘を受けたものを受け身の姿勢で揃えているように感じられ(もしかして積極的に何が必要なのか事案に則して担当者が考えていない?)、理由付記も割とざっくりと書いてある印象を感じています。

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