12月4日(日)の情熱大陸
12月4日(日)の情熱大陸は、甲子園での優勝を果たした仙台育英学園高校の野球部の監督に密着したものでした。
ほとんどテレビを見ないのと、世の中の情報に疎い方なので、知らなかったのですが、
「青春って、密なので」
という優勝コメントで有名な方のようです。
そのなかで非常に共感できることをおっしゃっていたので、それについて少し書いてみようと思います。
情報が多すぎる
「ダルビッシュ選手などの一流選手の動画がたくさんあるので、選手たちはそこで技術を学ぶことができる。ただし、情報が多すぎる。なので、監督の役割は思考の交通整理をすること。」
といったことをおっしゃっていました。
学生の頃、私はサッカーをしていましたが、当時はYou Tubeなんてありませんでした。
なので、一流選手のテクニックを見るためには、プロサッカー選手の試合中継を見たり、サッカーの本にある写真を見るくらいしかありませんでした。
あとはひたすら、その記憶を頼りにして真似ることが練習です。
また、自分のプレーを撮影して見返すことはあまり一般的ではなく(子供のサッカーに熱心なお父さんが学校の校舎の上の階から試合風景を録画していて、それを見ている選手はいましたが。)、あくまで感覚に頼った練習がメインだったように思います。
(お金持ちの私立の強豪校だったら、もしかしたら昔からそうだったのかもしれませんが。)
自分で考える力を身に着けさせる
今は、You Tubeもその一つですが、インターネットで検索すれば、いろいろな情報が落ちているので、簡単に質の良い情報を得やすくなったと思います。
その反面、質の悪い情報も混在しており、情報の海に溺れてしまう方が多く発生しているのかなと感じています。
そのような場合に頼りになるのは、インターネットに落ちている情報ではなく、実際の経験や深い思考による解を見出している指導者であるため、
「監督の役割は思考の交通整理をすること」
とお考えになったのではないかと思います。
非常に共感できました。
部員たちが自らアイデアを出し合って、どうやったらもっといいプレーができるかを話し合っているシーンがあったのですが、まさに、監督は黒子に接して、部員自身に考えさせているからこのような良い環境ができているのではないかと思います。
この監督自身がそうだったようですが、甲子園で優勝するような野球部員でも、みんながプロスポーツ選手になれるわけではなく、自分の野球選手としての力量を悟るときがいつかくるようです。
そんなときに、自分で考える力を持っていると、このような辛い場面も乗り越えられるのではないかと思います。
税務会計も同じですよ
別に最近になって、増えてなんてことは思っていませんが、自分で考える力を持てていない方が一定数いらっしゃるように思います。
税金の関連で言うと、
「この本にそう書いてあるから」
「〇〇という有名な方がそういっているから」
といったことが判断軸で、自分の頭で、
「本当にこれはこの取り扱いでいいのかな?」
と考えることをしていない方がいらっしゃるということです。
実務家として、国税庁が公表している取り扱いに反してまでも、自分の考えを貫き通すべきなんて偏った意見は持っていませんが、たとえ国税庁が公表している情報であっても、裁判例や裁決事例であっても、一度立ち止まって、
「本当にこれはこの取り扱いでいいのかな?」
と考えていかないと、単純作業がどんどん自動化されているこの業界で、生き残っていけないのではないかと思っています。
たとえば、一つの判例について、得ることのできる情報をできる限り集めてみてから、自分なりに深く考えてみて、そのあとに、いろいろな方のその判例に対する意見を読んでみると、
「この人は、この意見を書くにあたって、こういったバイアスをかけていて、そのためにこの情報は無視しているな。」
といった風に、税務に関する情報の見え方が、かなり変わってくるのではないかと思います。(一つの案件に関する情報をすべて与えられて、二つのまったく違う意見の文章を書いてくれと言われた場合、ある程度のレベルに達している専門家であれば、それが出来てしまうのではないかと思います。ポリシーに反するので辛いと思いますが。)
そうすれば、情報に踊らされることはありませんし、
「なんか、専門家同士で言い合っているなぁ~。」
なんて思いながら、楽しく読むことができるのではないかと思います。
また、中には常にニュートラルな意見を書かれている専門家の方もいらっしゃいますので、そういった方を発見できるということも、メリットだと思います。
自分で考えられるような基盤を作るまでが苦行ですので、大変なのはわかります。
でも、自分でしっかりと考えた意見を持っておくことで、きらっきらのご経歴の方に対してでも、堂々としていられると思いますので、おすすめです。
(大手とか中堅どころを、半端に経験した、自分で考える力がないのが発する意見が、一番危ないと思っています。)
日々精進。