独立してから、自分を説明する機会が増えた
これまで、国税、監査法人、法律事務所に勤めてきましたが、勤め人だと、自分の名前と組織名を言いつつ、名刺を交換するのが一般的だと思います。
事業会社にお勤めですと、併せて会社の説明を簡単にする機会もあるのかもしれませんが、税務署の人に、どんなことをしている組織なのか聞く人はいませんでしたし、監査法人も監査法人とお付き合いをするような法人は、その必要があってのことだと思いますので、説明する機会は皆無でした。もちろん、法律事務所も同じです。
ところがどっこい、自分の事務所を始めてからは、
「会計士と税理士の資格を持っていることは名刺でわかりました。で、どのようなお仕事をされているんですか?」
という疑問に答えるべく、簡単に自分を説明をする機会が増えたように思います。
なかなか理解をしてもらえない
「税理士やっています。」
だけですと、
「記帳業務をしこしこやっているんですね。」
と思われがちで、それは事実と違うので、
「記帳はお受けしていないんですよ」
(一人でやっていてこれを受けてしまうと、すぐに忙しくなってしまうので。)
と伝えると、
「じゃ、何をしているの?」
となります。
「税務に関する質問に答えたり、会計の支援をしたり、専門誌の連載を書いたりしています。」
なんて伝えてみたりはするのですが、大抵、
「うん?」
みたいなリアクションを受けます。
説明をしようとすると余計に良くないように思う
いろいろと説明を試みるのですが、語彙が乏しいからか、同じ言葉を連発してしまいがちで、なんか一生懸命に自分を大きく見せようとしているように見えるらしく、余計に良くないなと感じることがあります。
たとえば、質問対応について説明をしようとすると、
「中小企業からの税務に関する質問対応って何?」
「普通は記帳もお願いしているところに対応してもらっていて、それは顧問料に含まれているんじゃないの?」
といった質問を受けるので、
「ある程度の規模になってくると、そういったニーズがあるんです。」
といった説明をすると、
「自分のお客さんは中小企業じゃないぞ。」
と、自分を大きく見せようとしているように見えてしまうこともあるようで、むなしい結果になってしまうことがあります。
(正確に伝えようとすると、大きく見せようとしているようにとられ、ざっくり説明をすると、わかってもらえない。頃合いが難しいです。)
その場で自分を理解してもらう必要はない
さて、どうしたものかなと、いろいろと考えていたのですが、よく考えてみると、独立する前から、同じだったなと気づきました。
税務調査をしていた頃、5年くらい税務調査を担当していたとしても、毎回、調査先では、1年目の新人さんが来たような扱いでしたし(その時はこの扱いの方がやり易かったので良かったのですが)、監査法人に入ったときも、すでに国税で10年経験を積んできたにもかかわらず、名刺の渡し方から研修を受ける必要がありました。
(考え方によっては、大変ありがたいことではあるのですが。)
法律事務所に移ったときも、初めは、ほぼまったく信用してもらえませんでしたし。
結局は、言葉でいくら伝えようとしても伝わらず、日々の発言や仕事に対する姿勢、成果物の精緻さ(丁寧さ)が与えるイメージの積み重ねで、自分を理解してもらうことができるのかなと考えるに至りました。
焦らず、ゆっくりと、でも確実に。
(Slowly but surely.)
日々精進。