税理士としての義務
今年も確定申告無料相談に従事してきました。
支部によって違うようなのですが、私が所属している支部では、最低で2日間の従事が求められます。
今年は住宅借入金控除の対応がなかった
昨年が人生で初めての所得税の確定申告の対応でして、のん気に参考書など一切持って行かずに無料相談に従事してきました。
まさか、住宅借入金控除の対応ばかりをするなんて思ってみなかったわけで、結構大変でした。
その経験を踏まえ、今年は住宅借入金控除を事前に勉強し、参考図書も持参して臨んだのですが、なんとびっくり、今年は、住宅借入金控除の対応は税務署の方がしてくださるとのことで、収支内訳書の作成支援や一般的な税務相談のみでした。
それでも、丸一日対応するのは大変で、とても疲れました。
多くの日数、この業務に従事されている方、尊敬いたします。
いろいろな方の歴史
報酬は一応いただけるのですが、会場までの交通費や稼働時間を考慮すると、雀の涙でして、まったく期待していません。
ただ、この時期が一番所得税を勉強する、やる気が起きるので、この勉強するモチベーションが対価かなぁ、なんて思っていました。
ところが、思わぬ副産物がありました。
先に書いたとおり、今年は住宅借入金控除の対応がなかったので、相談者の方一人一人に丁寧に対応することができました。
所得税の確定申告書を作成するにあたっては、収入はもちろんのこと、経費、家族構成など、プライベートなことも含めて、いろいろなことを確認する必要があります。
もちろん、興味半分で聞いているのではなく、控除の適用漏れなどが生じないようにするために聞いています。
で、いろいろと聞いていると、相談者の方のこれまでの人生が薄っすらとですが、見えてくるわけです。
自分がやってきたことに誇りを持つ
それをわかってなのか、昔話をして下さる方もいらっしゃいました。
ご高齢の方だったので、まさに戦後復興期の日本を支えた方々なのだと思います。
ご自身のお仕事に誇りを持たれているのが、話している声のトーンや表情に現れており、ほぼ無償に近いボランティアに一日従事するの嫌だなぁ、なんて思っている自分が少し恥ずかしくすら感じました。
ただ一つ気になったことがありました。
税理士の相談ブースを利用できる方は、基本的に、収入等があまりなく、ご自身で税理士に相談をすることが難しい方となっております。
つまり、現在の収入金額だけ見ると、ご相談者の方々の努力や苦労はちゃんと報われたのだろうかと疑問に感じるわけです。
もちろん、収入がすべてではなく、結婚して、子供が生まれて、子供が巣立ち、孫が出来るといったことで十分に幸せを感じることができますし、結婚をしていなかったとしても、それ以外にも幸せに感じられることは一杯あったのだと思います。
日本の製造業はすごい、クオリティは海外の比ではない、みたいな話を聞くときって、おぉ、日本すごい、なんて素直に喜んでいましたけど、こういった方々の多くの努力や苦労が基礎にあって、がっちりと支えてくださっていたから成り立っていたんじゃないかと思う訳です。
こういった方々に、スポットライトを当ててあげることも必要だったんじゃなかろうか?なんて考えだしてしまい、体力的な疲れというよりも、精神的な疲れがどっときました。
帰りはバスを使ったのですが、道中、ずっと物思いにふけってしまいました。
以上、確定申告無料相談に従事したことによる副産物でした。
とても勉強になりました。
本当に。
日々精進。