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やっと、認定利息の利率10%の根拠を知ることが出来ました

所得税のはなし

審理専門官曰く10%で認定利息を計算する

法人税法上は、会社は営利企業であるがゆえに、お金を貸す際は利息を受け取ることが求められます。

なので、子会社や代表者に会社が貸付金を有している場合で、利息の計上をしていない場合は、受取利息の認定を行います。

どういう場面だったかの詳細は忘れてしまったのですが、たしか、代表者貸付金に対する認定利息をどうやって計算するかの処理について、審理専門官と話していた際に、

「村上くん。法人税法上の利率は10%だよ。」

と言われて、かなり驚いたことがあります。

驚いた理由は、銀行が公表している各種金利などを見ても、10%が異常値に感じられたためです。

その事案は、確か、銀行からの借入利率を参考にするなどして、認定利息の計算をしたと思うのですが、その当時から10%の根拠がどうしても見つけることができずにいました。
(そもそも10%の根拠を使う機会がないので、単なる好奇心からでしか探していなかったので、真剣に探していれば、もっと早く見つけられたかもしれません。)

「税金力 時代とともに「税」を読む」に書いてありました

「税金力 時代とともに「税」を読む」(山本守之著 ㈱中央経済社)の、第1章1999年(平成11年)の、「3 これじゃ高利貸しじゃないか?(11月号)」(10頁)に根拠が書いてありました。

現在は、廃止または改正がされているようなのですが、所得税法基本通達と法人税法基本通達に規定があったとのことです。

使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額について定めた所得税法基本通達36-49で、「おおむね年10%の利率によって評価する」とされていたとのことでした。

法人税法基本通達13-1-11においても、「通常の利率」として年1割と定められていたとのことです。

審理専門官からの話でしか聞いたことがなかったので、まったく信用しないわけではありませんが、利率が異常に高かったので、「本当なのかなぁ~」という思いも少しあったのですが、根拠を知ることができたので、少しすっきりしました。

当時の通達は未確認です

ただし、残念なことに、改正前の通達を見ることが出来ていません。

法令関係で過去の経緯を追う時は、税務通信さんの法令集を使用しています。

どこまで通達を遡れるのかを調べてみたところ、平成13年4月1日以降分からの登載でした。

所得税法基本通達(平成13年4月1日時点)は下記のとおりでした。
(件の書籍によると、36-49は廃止されたようなので、この通達は別物なのかもしれませんが、似た内容の通達でしたのでご紹介します。)

36-49  利息相当額の評価
使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については、当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には、その借入金の利率により、その他の場合には、貸付けを行つた日の属する年の前年の11月30日を経過する時におけるいわゆる公定歩合(日本銀行法第15条第1項第1号の規定により定められる商業手形の基準割引率)に年4%の利率を加算した利率(その利率に0.1%未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)により評価する。

法人税法基本通達(平成13年4月1日時点)は下記のとおりです。

13-1-11  複利の方法による現在価値に相当する金額の計算
令 第138条 第3項《特別の経済的な利益の額の計算》に規定する「通常の利率」は年3.5%、「貸付けを受ける期間」は1年を単位として計算した期間(1年未満の端数があるときは切り捨てて計算した期間)、複利の方法で現在価値を計算する場合の「複利現価率」は小数点以下第3位まで計算した率(第4位を切り上げる。)による。

税理士会図書室か国立国会図書館に行けば、当時の通達を調べられるのだと思いますが、さすがに過去の通達を見るためだけに行く余裕はないので、何かのリサーチついでに確認して来ようと思います。

認定利息ってあまり好きな指摘事項ではないです

もう、利息の計上漏れの事例はあまりないのかなと思っているのですが、私が税務署に勤めていた頃は、結構ありました。

勘定科目内訳明細書とPLを見れば、計上がないことがわかるんですよね。

貸付先が破綻しているなど、特別な状況にでもない限り、是正を行うこととなるのですが、よっぽど多額の金額の貸付けでもない限りは、利息の認定をしても、たかが知れています。

法人間の貸付けである場合は寄附金認定をするのですが、寄附金って全額が損金不算入になるわけではないので(当時は、グループ法人税制はありませんでした。)、いよいよ指摘をした意味がわからなくなります。

個人への貸付けの場合は、経済的利益の供与として給与認定をすることとなるのですが、手間が結構かかるので、大変です。

貸付金の推移を把握して、認定利息を計算して、年末調整のやり直しをして、年末調整未了の月については、毎月の源泉徴収税額を算定してといった感じです。

複利か単利か

これまで、何も意識せずに単利で計算していたのですが、利息の計算が、複利か単利かについての下記の個別通達を偶然見つけました。

両説あったようです。10%で複利計算だと強烈な課税だったものと推測されます。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/540915/01.htm

貸付金の平均残高を使った計算方法

貸付金の平均残高を使って認定利息を計算する方法について、実務で当たった際に、先輩調査官から、根拠を教えてもらっていたのですが、きれいに忘れてしまっておりました。

ということで、通達を見てみたのですが、そのものずばりの通達が見つかりません。

所得税基本通達36-10(経済的利益の額を収入金額等に算入する時期)の(2)が、根拠っぽいな~なんて思いながら、逐条解説を調べてみたとこころ、どうやら、所得税法基本通達36-28(課税しない経済的利益・・・金銭の無利息貸付け等)が根拠の様でした。

通達の逐条解説にある借入金の平均残高の計算事例(「平成29年版 所得税基本通達 逐条解説」327頁~329頁)の計算で、認定利息の計算をした記憶がありますのでといったくらいの弱い根拠ですが。

所得税の裁決事例がおもしろそうでした

通達調べのついでで、個別通達がどんなものがあるのか眺めてみたのですが、古い通達でも、今でも使われていそうな通達がたくさんありました。

今は、インターネットが発達しているので、関連キーワードで個別通達の情報などがひっかかってくれますが、インターネットがなかったら、相当な税金マニアでもない限り、適切な税務処理を完遂できないような気がしております。

所得税に関する裁決事例なんかを見ていると、考えさせられる事例がたくさん見つかりましたので、所得税も時間を見つけてしっかりと勉強をしてみようと思います。

日々精進。

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