管理費は消費税の課税取引に該当するか?
不課税取引とされていますので、仕入れ税額控除の対象とはなりません。
https://www.tokyozeirishikai.or.jp/common/pdf/tax_accuntant/bulletin/2018/dec_03.pdf
ずいぶん前から何度か接している論点なような気がするのですが、未だに税務調査の指摘事項として挙げられているのをよく見かけます。
みんなが間違えるということは、税法の観点から正しいか否かは措いておいて、一般的な感覚と、税法の観点が何かしらズレてしまっているケースなように思います。
過去に裁判になっていたので、判決内容を見てみました。
非常に大雑把にいうと、
「管理費は義務のようなものなので対価性がない」
ということで不課税取引(会費と同じような扱い)と判断しているようでした。
管理費って何に使われているか意識しませんか?
税法云々ではなく、一般的な感覚としてですが、たとえば町内会費は、夏祭りなどのイベントや町内の各種設備の維持管理のために使用されているものの、支払側としても、実際に何に使われているかを意識することはあまりないように思いますし、義務のようなものと考えて支払っているように思います。
(税金の使途をあまり意識していないのと同じように。実際は道路だとか、消防だとかいろいろとベネフィットを得ています。)
また、イベントなどについては参加しなければ、何も得ていないので、対価性がないというのも納得がいきます。
対して、管理費はというと、管理費から定期清掃や共用部の維持管理費が支払われているのはみんな理解しており、支払うのが妥当であるから支払っているわけで、町内会費のような義務のようなものとして支払っていると考えてはいないのではないかと思います。
(とはいえいろいろな人がいるので、必ずしもそうではないかもしれませんが。)
また、定期清掃や共用部の維持管理が行われることで、マンションに住んでいる人は快適に暮らせるというベネフィットを得ていますし、物件を所有しているだけの人にとっても、物件の資産価値を適切に保つことができるというベネフィットを得ているので、この点からも会費とは違うのではないかと思っています。
法律って判断に迷ったときは常識に照らして判断すると良いと思っていました
税務大学校の講義の一つに民法があるのですが、外部講師の先生(著名な大学教授です)が、
「民法の判断で迷ったら、常識で考えると答えがわかる」
というアドバイスを講義でされていたのを覚えています。
「民法と税法とは違う法律だから、同じように考えることがそもそも無理なのではないか?」
と言われるとそれまでですが、本件についていうと、同じ指摘が続いている、つまり多くの方が間違っているということは、常識で考えることで答えがわかるものではないようです。
かといって、税法の質疑応答集を頭からざーっと読んで、税法の常識のようなものを頭の中に作ってから、それを頼りにして判断してみても、この管理費の取り扱いはストンと理解できない類なように思います。
(何でもかんでも感覚を頼りにして判断をしているわけではありませんが、この感覚を適切に持っているからこそ、プロとしていられると思っているので、税務上の取り扱いを考えるときの、一つのプロセスとして、自分の感覚と照らし合わせることをしています。)
税法の三原則の一つの「簡素」はいったいどこへ行ってしまったのでしょうか。
いずれにしても、管理費を課税扱いとしている場合は否認されてしまいますので、ご注意ください。
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日々精進。