無料相談
確定申告の時期に無料相談に従事しています。
今年も従事予定でして、この時期くらいにしか、所得税確定申告の実務をしないので、いい機会かなと思うようにしています。
青色申告は簡単と聞いたので
以前、少し疑問に感じたことがありました。
誰かしらから、青色申告は簡単であり、65万円の控除を取れると聞いた方が、会計ソフトをお使いなられて記帳した帳簿と試算表をお持ちになられて、申告相談にいらっしゃいました。
持参されていた元帳をみてみたところ、複式簿記ではなく単式簿記での記帳で、BS科目の残高がマイナス残高だらけなど、明らかにそのままでは青色申告は難しい状況でした。
時間を作ってお越しになられていたこともあり、その場で解決されたそうだったのですが、まだ確定申告期限まで時間はあるので、複式簿記で、日々の取引の記帳をやりなす、もしも、どうしても対応が無理だった場合は、65万円の控除は諦めるしかないとアドバイスをして、お帰りいただきました。
どのような場面で、誰がどのようにいったのかはわかりませんが、青色申告って、簿記の知識がない人が対応することを想定すると、簡単ではないと思うんですよね。
預金やカードの取引データと自動連携・連動させたからといっても、それは、取引金額と摘要欄(のようなもの)が、自動的に取り込まれているくらいで、それが簿記や所得税の取扱いとして正しく処理されているかというと、それは別の話だと思っています。
ある程度予備知識があって、自分で調べることができるならば
この時期になると、所得税確定申告関連の本や雑誌がたくさん販売されていますし、個人事業主の方向けの青色申告のやり方の本などもあります。
記帳指導も行われていますし、青色申告会のような団体もあります。
本などで調べることもなく、誰かが発した「青色申告は簡単」という言葉に乗っかってしまう方が悪いのか、そのような言葉を発している方や、そういった商売をしている方が悪いのか、何が原因なのだろうかと思う訳です。
確定申告シーズンに入ってから税理士を探し始めても、時すでに遅しなように思われますし、10万円→65万円で55万円の控除額の増加をとれるとして、税率が5%だとすると、55万円×5%=27,500円の所得税を減らすために、それ以上の税理士報酬を払うことを喜ばれる方もないだろうと思うと、みんなが不幸になっているように感じたわけです。
(青色申告制度の趣旨が云々ではなくです。)
青色申告を目指すこと自体はすばらしいことだと思うのですが、むやみやたらに簡単であると宣伝するのはよくないのではないかと思った次第です。
日々精進。
【お仕事のはなし】「税務調査を今一度ちゃんと考えてみる本」(税務経理協会様)