相談をする方法
知り合いの組織内会計士と話していて、
「税務署へ問い合わせるにはどのような方法があるのか?」
という質問を受けることが増えたように感じています。
問い合わせの方法としては、
・文書回答制度の活用
・国税局電話相談センターの活用
・税務署での相談
などがあります。
文書回答制度
文書回答制度のリーフレットには、
「照会文書の提出からおおむね1カ月以内に、①文書回答の可能性及び②処理の時期の見通し等を口頭で説明します。」
とあります。
「補足資料の提出等を求められた日から提出等をした日までの期間を除く」
とされているので、実際は数カ月はかかるのではないかと思います。
相談者としては、相談結果を反映して申告を行いたいと考えるため、このスケジュール感だと、なかなか利用しづらいと思うようです。
国税庁のHPには文書回答事例が公表されていますが、内容を見ると、どれも影響が大きいものばかりですので、一法人の個別具体的な事例の相談に活用するということには馴染まなさそうに思います。
国税局電話相談センター
次に国税局電話相談センターですが、私も何回か利用したことがありますが、昔に比べるとかなり、対応が良くなった(回答のスピードや質という意味において)ように感じています。
回答は折り返しによる連絡となることもありましたが、その日のうちか翌日中くらいにはご回答をいただけました。
私が国税に在籍していた頃に始まった制度ですので、もう10年以上は運用されていると思うのですが、始まった当初は、運用が固まっていなかったのか、まったく個別具体的ではない質問であっても、相談センターの職員の方から、
「個別具体的な質問ですので税務署の方で答えてください」
と電話が回ってきたことが何度かありました。
国税職員には系統といって、税務大学校での研修を終えて税務署に配属されるときに、どの税法を担当するのかが決められて、基本的にはその税目をずっと担当するのですが、当時の相談センターの職員は、おそらくですが、自分の系統以外の税目に関する質問も対応する必要があったので、上記のような対応になってしまっていたのかなと思います。
税務署での相談
最後に、税務署での相談ですが、これが一番やっかいというか、利用するか否かの判断が悩ましいなと思っています。
まず、回答までの期間が全く読めません。
私が都内の大規模署に在籍していたときに、日本全体で影響のあるような相談を、とある大きな組織体から受けたことがあります。
(各々が税務署や国税局に相談に行っていたものの回答内容がまちまちだったので、統一見解が欲しいとのことで、この組織体の方が相談にいらっしゃいました。)
質疑の内容から国税庁の判断を仰ぐこととなったこと、また、他省庁が発遣した通達が関連する取引の質疑であったため、国税庁の担当者が他省庁の担当者からヒアリングや議論をして回答することとなったことから、私がこの質疑を受けてから、この税務署に在籍していた間に(数か月間)、国税庁から回答を得ることはできませんでした。
この事例は極端な事例ですが、相談対応は、慎重に対応をしているので、税務署から回答を得るまで結構時間がかかるのではないかと思っています。
最終的には納税者が判断することとなります
この対応は行政サービスですので、その後の税務調査で判断をひっくり返される可能性があるという点も悩ましいように思います。
特に事実認定が絡む相談は、後になって結論が変わる可能性が高いので気を付けた方が良いように思っています。
税務上の取り扱いがひっくり返ってしまった事案を、納税者側の視点で見ると、
「ちゃんと説明したのに、ちゃぶ台返しされた!!」
となりますが、国税側の視点で見ると、
「判断に影響するような重要な情報の開示を受けていなかったから、そりゃ回答も変わりますよ、、」
といった風に見えます。
ちゃぶ台返し事例
最近、税務関係の読み物で、税務調査であるものの加算税が賦課されていない事例を目にしました。
詳細はわかりませんが、納税者が事前相談を行って、国税側も慎重に対応したものの、その後の税務調査で結論が変わったという事案のようです。
事実の評価次第で、結論が変わるような事案であったのならば、事実をつらつらと述べて、
「法に当てはめると国税の処分は誤りである」
といった主張をしてみてほしかったのですが、内容を見るに、
「税務署の指導通りに申告したのだから、課税されるべきではない」
といった主張をしていたようでした。
この手の主張は、納税者側の気持ちとしては非常によくわかるのですが、処分を取り消す判断を取りに行く主張としては、
「正直なところ、どうなんだろうか」
と思ってしまいます。
裁決に関する資料や裁決書をしっかりと読んでみないと、実際にどのような主張立証がなされたのかは不明ですので、時間を見つけて、じっくりと研究をしてみようと思います。
日々精進。