租税研究
公益社団法人日本租税研究協会が発行している「租税研究」を定期購読しています。
内容がちょっとアカデミックよりではあるのですが、最近のトピックや、税制改正の財務省担当者の解説などがとても役立ちます。
たまに、訴訟中の事案について意見を述べられた講演録が掲載されておりまして、
法的に考えるとこんな風な説明になるんだなぁ、
と考えながら読んでいます。
所得税の為替差益って不思議
円安が進んだころから指摘事項に挙がるようになった、為替差益に対する課税、法人税ですと会計帳簿がありますので、為替の変動に応じて、損益が生じたとしても、上がり下がりの両方が考慮されるので、一時点でみると、利益が上がることがありますが、その後も見ていると、あぁ、つーぺーになるんだな、と納得がいきます。
(在外支店の換算のパラドックスなどがあるので、為替の影響による利益が増えた減ったという議論はあまり好きではありません。外貨で稼いで外貨のまま保有し、外貨での決済などに使用するのであれば、為替リスクを負っておらず、単に円表示の財務諸表に統一した結果に過ぎないと思うんですよね。)
ところが、所得税になると、会計帳簿があるわけではないので、長い目で見てもつーぺーになるわけでもなく、損の方はどこかに行ってしまい、益の方だけ所得として課税を受けることになります(と理解しています。所得税にそこまで詳しくありません。)。
なんだか片手落ちだよな~、
と、いつも感じてしまうのですが、円安の結果、結構な額の為替差益となってしまうこともあって、争いに発展してしまっているのだと思っています。
一年ほど前に著名な大学教授が反論していた
この論点を聞くようになったのが、記憶ベースですと、だいたい、令和2,3年頃くらいからでして、現在は最高裁に上告されている事例があるそうです。
まぁ、そりゃもめますわな、
と思っていたところ、一年ほど前に、著名な大学教授が両替契約であることから、所得は実現しないという寄稿をされておりまして、
おぉ、おもしろくなってきたぞ、
と思っていたのです。
そして、今回、課税庁側(税大の研究部教育官)が「個人における為替差損益の認識とその計上時期について」という講演をされており、その講演録が掲載されていたのですが、法的な解釈を用いて、真向から反論されておられました。
やっぱり所得税はおっかない
どちらを読んでも納得しちゃったんですよね。
納得はできたけれども、理解はできていない。
(意味わかんないですよね。でも、こんな気持ちになりました。)
で、何を思ったかといいますと、
所得税ってやっぱりおっかないな、
ということです。
法人税にはない、独特の恐ろしさがあるんですよね。
勉強をしっかりすれば対応できるという話でもなく、所得税は全く別の生き物だという考えを常に頭においておいた方がいいように思っています。
それでも、指摘を受けて、初めて気づかされる事項も数多あるように思っており(この為替差益がまさにそうです)、税法って怖いなぁ~とあらためて思った次第です。
日々精進。
【お仕事のはなし】「税務調査を今一度ちゃんと考えてみる本」(税務経理協会様)