事業承継を支援するサイト
とある会合で、事業承継を支援するサイト(MAの仲介サイト)の案内を受けました。
サービス開始から数年経っていることと、案件情報を無料で見ることが出来る(登録なども不要)とのことでしたので、
どんな案件が募集されているのだろうか?
と興味半分でのぞいてみました。
債務超過で1億5千万円
全国津々浦々の案件が募集されていました。
小規模事業向けということもあり、従業員1名ないし0名、年間売上は1,000万円~2,000万円くらいの規模の案件がほとんどでした。
規模はさておき、案件の募集要項を見ていて度肝を抜いたのが、債務超過で、希望譲渡価格が1億5千万円で公表されていた案件です。
初めは桁を見誤ったかと思ったのですが、十万、百万、千万、一億と桁を数えてみたところ、やはり、1億5千万円でした。
おそらく、この価格は事業主の方の思いが詰まった価格だと思うのですが、職業柄、決算書にある情報から株価を考えてしまいまして、ちょっと無理があるんじゃなかろうかと思ったわけです。
特別な商流であったり、知財の様な無形資産、店舗(立地良し)や設備などがあって、債務超過もコロナなどの影響で一時的にそうなったということであれば、まだ考慮の余地があるとは思うのですが、そんな感じもなく、ただただ、希望譲渡価格をそのまま載せているだけのように見えました。
諭してあげるのも、一つの優しさのように思うのですが。
会社名義の資産はよこさんぞ
俄然、興味がわきまして、このほかにどんなびっくりおっかな案件があるかいろいろと見ていたところ、ありました。
会社は売るけど会社名義の資産(車2台)は譲渡に含まれません案件です。
節税とかなんとかで会社のお金で購入されたのでしょうか。
事業に必要ないので、譲渡対価にそのお車代は含まないとしても、会社の資産ではあるわけで、譲渡なりをする必要があると思うんですよね。
処理のタイミングにもよりますが、会社の売り手にも給与所得だったり、雑所得などなどが生じてしまわないかと心配になりました。
うまくいっていない事業を売るのであれば、せめて、会社の債務を圧縮するなりして、出来る限りきれいにしてから売ろうと思わないのだろうか?
と疑問に感じたのですが、こちらも、結構強気なプライシングをされていたので、そのようなことは微塵も考えないのだろうと思われたわけです。
むしろ、売ってやるくらいの感じでしたので、ある意味潔いです。
聞こえはいいものの
このサービスをやっている会社が、昔は公的機関でしたという組織でして、よってもって、普通の営利企業が手を出さないようなエリアの支援に乗り出しているようなのですが、サービスを始めた趣旨の聞こえはいいものの、
本来の目的に沿ったものになっているのだろうか?
と疑問に感じてしまいました。
ちょっと謎な案件であっても、募集案件として登録してもらうことで案件数という実績は積めるので意味はあるのだと思いますが、会社を隠れ蓑にして好き勝手にやった人が、ごみを捨てるように、会社を売りに出すような場にならないことを願うばかりです。
ある程度の会計の知識があれば、手を出してはいけない案件とすぐに判別がつくので、結果、誰も買わないのだとは思いつつも、少し気になりました。
ビジネスって大変ですね。
日々精進。
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