印紙税の記事
2022年3月11日の日経新聞の朝刊に、
「ファミマ、1.3億円納付漏れ、国税指摘、60万通に印紙貼らず」
という記事が掲載されていました。
数年に1回くらいの頻度で印紙税の課税に関する報道を目にしているように思い、マニアックかつマイナーな税目であるものの、
「印紙税は怖い税目だな」
と改めて思いました。
どのような課税だったのか?
記事の内容は、フランチャイズチェーン(FC)加盟店との取引に関する文書に必要な印紙を貼付していなかったというものでした。
ここまで読んだ段階では、
「基本契約書(7号文書、一通ごとに4,000円の印紙を貼付)の変更契約書に印紙が必要という認識がなかったんだろうな。」
「それにしても、7号文書で、規模が大きい会社とは言え、追徴税額が大きいな。」
と思いました。
記事を読み進めていくと
「各加盟店から受け取る金額が示されていたことなどから、国税局は課税文書に当たると判断したとみられる。」
という記載がありましたので、どうやら、7号文書ではなく、領収書(17号の1文書)に該当するとして課税されたようです。
印紙税法における領収書
領収書というと、お店で買い物したときにレジで受け取る紙を、一般的には想像されると思いますが、本件は
「加盟店との取引に関する文書」
とのことですので、一般的に想像する領収書とは違うと思われます。
詳細はこの記事に書かれていませんのでわかりませんが、おそらく、FC店舗の一日の売り上げ代金を投入する機械(銀行のATMみたいな機械です)があって、FC店舗の売り上げ代金が日々投入されて、投入された際に、投入日時、金額などが示される紙片が発行され、それが領収書という認定を受けたのではないかと思われます。
印紙税の税務調査をやったことがあると、あるあるの課税事例なのですが、普段、誰も気にしない税目ですので、本件のような課税事例が起きて、当時の会社担当者が同じ部署に在籍している間は、課税事例として記憶されるものの、月日の流れと担当者の交代とともに、課税の記憶が薄れていき、結果として同じような課税が起こってしまっているのではないかと、感覚的なものですが、思います。
FC店舗に、売り上げ代金を受領した旨を記載した書面を、別途交付していたことも考えられなくもないのですが、数年間で60万通という通数からして、さすがに現実的ではないかなと思います。
(実際にやったら、郵送コストがすごそうですね)
ちなみに、銀行のATMからも預金への預け入れ時に紙片が発行されますが、こちらも印紙税の課税文書でして、銀行が別の納付方法によって、印紙税を納付しています。
こちらは寄託に関する契約書(14号文書)といって、別の課税文書となります。
本件の追徴税額(過怠税)は1億5,000万円(不納付税額の1.1倍が過怠税ですので、1.3億円×1.1で1.5億円です。)ですので、新聞で報道される他の課税事例に比べると少額なように思われるかもしれませんが、法人税の課税事例と合わせるために所得ベースに換算すると、仮に法人税率を30%として、所得ベースで5億円の指摘事項となりますし、過怠税は法人税法においては損金不算入ですので(税務調査をやっていたころに、損金算入できないんですか?とよく驚かれました。)、それなりにインパクトがあるのではないかと思います。
関連記事のご紹介
以下の記事でも、法人税等の税務調査に関する情報を書いています。
こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
日々精進。