資産税関係のご相談
ちょうど確定申告の時期ということもあってか、所得税や資産税(贈与税や相続税)に関する相談を、知り合いからの伝手であったりと、いろいろな方面から受ける機会が増えてきました。
所得税や資産税も、制度の全体は知っているのと、調べる書籍はもっているので、調べつつ対応をしているのですが、自分の財産に関することだからか、法人税などの対応とは、だいぶ違うなという印象を受けています。
まるで税金の抜け穴があるような情報が多い
対応にあたっての違いはいろいろとあるのですが、そのなかでも際立っているのが、本来税金がかかるものを、まったく税金がかからなくする方法があると勘違いされている方が、すごく多いということです。
法人税関係でこういった相談を仮に受けたとすると、確信犯でしかないように思うのですが、所得税や資産税関係だと、純粋にそういったものがあると信じ込まれている場合もあるので、やんわりと伝えてみはするものの、なかなかご理解をいただけず、難しいなと感じています。
丁寧に説明されている情報でも最後まで読まれることはない
税金がかからないように出来るという情報があったとおっしゃられた場合には、その情報元を聞いてみたりするのですが、そもそも素人が書いている情報で間違っているか、プロが書いていても、説明の中の自分にとって都合のいい部分のみを覚えているだけということがあります。
説明を上から下までしっかりと読んでみると、
「ほら、説明されていますよ、節税でもなんでもないでしょ。」
なんてことになります。
税金に関する意識が高まって、自主的にお調べになられる方が増えてきていることは望ましいことだと思うのですが、なんせ、無料の情報が元なので、玉石混交ですし、中にはアクセス数を稼ぐためなのか、煽っているような情報も結構あったりして、なんだかなぁという気持ちになります。
税金のプロが作っている税法に、そんなに簡単に抜け穴があると思いますか?
非課税制度は制度として認められているものですので、大いに活用して節税をされればいいと思うのですが、非課税にしたのには当然理由があるわけで、その制度の趣旨などに沿っていない場合は、あたりまえにその制度は活用できないわけです。
この、非課税という国から認められた制度を活用して節税をするために税理士に相談することと、その趣旨も何も関係なく、とにかく税金がかからないようにする方法を教えて欲しいと相談することはまったく意味が違うんですよね。
特別な制度でもない限りは税金がかかることを説明しつつ、
「そもそも税法って、税金のプロの人たちが作っている制度ですよ?そんなに簡単に抜け穴があると思いますか?」
と聞いてみたりするわけですが、あまりストンとこないようです。
そんなに日本の税金を払いたくないのであれば、慈善事業のようにまったく儲からない商売をするか、日本にある財産を全部処分して、海外に出国して、ずっと海外で暮らすくらいしかないのではないかと思います。
(この場合でも、財産を処分する際の税金や出国税もありますね。)
反対に、日本に住み続けたくて、しっかりと儲けたいのであれば、税金が生じるのは避けられないということです。
やんわりとお伝えしたものの伝わっているかが心配
どう考えても、税金がかかるし、徒労に終わることが見えている方には、
「どのみち税金がかかりますし、手間とか相談料かかるのでやめたほうがいいですよ。」
とやんわりお伝えするのですが、当人の頭は、
「税金がかからなくなる方法がある。」
という考えで凝り固まっているので、何回も同じようなアドバイスをするのですが、いったいどれくらい伝わっているのか不安に感じます。
プロとして回答しているので、間違ったことは言いたくないですし、相談者の方が、税金以外のことも含めてトータルで損をすることのないようにと思ってのアドバイスなのですが、
「なんか、頼りない税理士がいてさ~。」
みたいに言われてしまうのかな、なんて思っています。
(特に相談者の方よりも若いこともあって、信頼を得ずらいですね。法人税の対応と違ってスポットですし。)
たまに、
「ダメダメな税理士がいてね。」
という発言を聞くことがあるのですが、中には本当にこの人はプロか?みたいな税理士さんもいらっしゃいますが、全部が全部そうではないんだろうなと、独立してから、思うようになりました。
特に、税金にあまり詳しくない方がこの発言をした際は注意しています。
ほぼ真っ黒なスキームを、節税スキームですよと納税者の方に提案して(手間賃欲しさ?)、それの相談を受けた税理士さんが必死に止めているというケースが結構多いです。
良かれと思って対応しても、伝わるのはアドバイスしたことの1%くらいなのかもしれないですね。
少しずつ、うまくハンドリングできるようになっていこうと思います。
日々精進。