マンゴー事件
毎朝、英語のレッスンを受けており、受講するにあたっては、議論の題材となる記事をあらかじめ読んでおき、それについて英語でディスカッションをしています。
先日読んだ記事について、背景事情を把握することなく感じたことと、背景事情を知ったうえで感じたことに大きな違いがあり、あらためて、物事を判断する際の背景事情の大切さを認識することができました。
フィリピンで起こった事件らしいのですが、とある土地にマンゴーを無許可で栽培していた老人がいたらしく、その老人がその土地の所有者から訴えられて、投獄されてしまったというお話です。
記事の内容としては、
- 無断で他人の土地を使用していた老人は悪いと思うか?
- 無断とはいえ、土地の所有者は老人を訴えて投獄までする必要があったのか?
ということを読者に問うていました。
無断で他人の土地にマンゴーを植えて栽培して、マンゴーを収穫していたとなると、悪いのは老人ではないかと考え、レッスンでもそのように回答したのですが、インストラクターから背景事情を教えてもらうことで、考えが変わりました。
私自身でリソースを追ったわけではありませんので、インストラクターの情報が正しいのかの確信は持てていないのですが、どうやら、老人は悪い人に騙されて、他人の土地を使ってマンゴーの栽培をさせられていた、老人を利用していた人は捕まっていない、フィリピンにはこのように自分の身を守るための教育をしっかりと受けることができなかった高齢者がおり、このような高齢者を利用して悪いことを企む輩がいるということらしいのです。
てっきり、この老人は勝手に土地を使ってもバレないだろうと考えていたところ(勝手なイメージですが、フィリピンには広大なマンゴー園があると思っています)、バレて、逮捕されてしまったといった事件かと思っていたのですが、もちろん知らなかったでは済まされないとは思いますが、どうやら無知に付け込んだ犯罪だったようです。
税務に関する情報
仕事柄、税務訴訟など税務に関する情報を、新聞記事などの各種媒体から得ているのですが、相当レアなケースの課税が誰にでも起こりうるかのように書かれていたり、プロの知識をもって、真剣に読んでみても、合点がいかないことが稀にあります。
そのようなときは、おそらく、背景事情を把握して理解するために十分な情報が記載されていないことが原因であるように思っています。
論文の執筆、事例研究やそのほかの仕事の関係で裁判所に行って、税務訴訟の訴訟記録を読むことがあります。
そこには、(裁判所に提出された資料であるため、ある程度は選別されてはいるとは思うものの)記事には記載されていない背景事情などが記載されており、もともと税務調査をしていた側でもあるので、国税調査官が作成した応答録を読むと
「あぁ、この事案は企画ものだから、普通の税務調査と違うのに、普通の税務調査のように対応してしまっているなぁ」
であったり、原告(納税者)と被告(国(国税))の準備書面(主張が書いてある書面)を読むことで、
「調査官にうまく説明が伝わらなかった結果、更正処分に至ってしまったんだなぁ」
など、当時の情景を想像しながら、背景事情を把握(正確には推測かもしれません)することができます。
便利なアプリの登場などで、情報収集が容易になった反面、このように背景事情まで追っかけて情報を検証する機会が減ってしまっているように思い、あらためて、背景事情の大切さを認識させられました。
日々精進。