山守先生の書籍で紹介されていた事案
新規オープンであったり、新装開店の店先に、取引先などから贈答された花輪が飾られているのを目にすることがあるかと思いますが、これについての、法人税法上の取り扱いが争われた事案が紹介されていました。
まず、一般論として、花輪代の支出は法人税法上の交際費に該当することとされています。
ただし、パチンコ業界では特有の商慣習があるため、花輪代であっても交際費には該当しないという取り扱いがあるようです。
その国税内部の取り使いをご存じだった税理士さんが、他の業種においても同様のことがいえるとして、花輪代を交際費の額に含めずに申告をしていたところ、これが認められなかったという事例のようです。
この手の情報は汎用性がないと考えた方が無難です
この事案の税理士さんが、なぜ、国税内部の取り扱いをご存じだったのか、なぜ、汎用性のある取り扱いではなさそうであることに思いが至らなかったのかはわかりませんが、こういった、元国税職員だから、当然のように知っている取り扱いってほかにもあるように思っています。
(具体的に思い当たる何かがあるわけではありませんが。)
また、この手の取り扱いって、別に隠そうとしているわけではないと思っています。
国税局などが、納税者から質疑を受けて回答した内容について、その後の税務調査等において、回答した内容と相違する取扱いとならないように、現場に周知していたところ、まるで、それが秘密の特別な取り扱いのようになっただけなのかなと思っています。
こういった、一度決めた方向性について、わざわざ外部に公表しないことは、国税以外の組織でもあることなのではないかと思っています。
質疑応答事例集などを通じて、情報が出てきていた
ひと昔前の、国税OBが著者となっている質疑応答事例集などを見ていただくと、お分かりいただけると思うのですが、一般論から踏み込んだ取り扱いが紹介されており、その取扱いについて明確な根拠がない(そのものずばりの通達などがない)ものは、この手の情報が質疑応答事例集という形で、また、著者の個人的見解という形で、世の中に出て来ていたものだと思っています。
国税内部で見たことのある取扱事例集などを丸写ししたものもあったりするので、はっきりとわかるのですが、国税在籍時は、
「そうやって、情報を広めていくものなんだな」
と思っていました。
ただ、最近はこの流れがなくなってきたよう感じており、
「こうやって広まっていくんだよ」
という取り扱いを知っていること自体が、古い情報になってしまっているのかもしれません。
税務署を辞めるときに、すべて破棄してきました
国税には約10年程度所属していました。
決して、重要な情報を持っていたわけではありませんでしたが、国税内部の情報が少しでも記載されている書類はすべて、税務署を辞めるときに破棄してきました。
人事異動通知書、表彰状、卒業証書(税大の)だけは破棄せず、手許に置いてあります。
(思い出としてと、人事異動通知書がないと自分の職歴がわからなくなるので。)
なので、私に、国税内部の取り扱いを教えて欲しいと期待されたとしても、そもそも、税務署の下っ端だったので、たいした情報に触れていなかったということでもありますが、すべて破棄してきていますので、まったくお役に立てないと思います。
幸いにもそういった方からお仕事のご依頼をいただくことはありませんが、念のため。
情報には賞味期限がある
情報には賞味期限があると思っています。鮮度が大切ということです。
国税組織にお勤めになられていた方が、当時の情報のみを糧にして、退官後もお仕事をされているのを見ると、
「その情報だけでずっと食っていくのはきついんじゃなかろうか?」
と、思ってしまいます。
こういった見方をしているのは、
「国税OBだからなのかな?」
と思っていたのですが、先日、税理士の集まりで、国税内部の情報の話になったのですが、
「さすがに10年も20年も前の話をされても、もう変わっちゃってるでしょ、と思う」
と税理士さんがおっしゃっていたので、国税OB以外の税理士も同じように見ているようです。
実際、
「国税調査官は名刺を持っていない」
という情報をさらっと書かれていた書籍を最近目にしたのですが、
「いつの話だよ、、、」
と思ってしまいした。
(市販されている、プリンタで簡単に印刷できる名刺作成シートを使って名刺を作っています。一枚に20枚くらいの名刺が印刷出来て、手でミシン目に沿ってちぎるやつです。幹部の名刺は別。)
取り扱いなどの情報収集は税務の読み物におまかせ
税務に関する読み物を読んでいると、こういった国税内部の取り扱いの把握に価値を置かれている媒体を目にします。
確かに、
「おぉ、すごい!!」
と思えるものもあるのですが、いち税理士としては、ここを目指してはいけないと思っています。
もちろん、こういった媒体は、情報公開請求という正式に認められている手段を通じて、情報を得ているのだと思いますが、国税OBだと、(実際に得られるかは別として)過去の同僚などに連絡をすることも可能なわけです。
やっていることが、スパイみたいで、嫌悪感しかありません。
「税理士としての知識や経験に自信を持って、自分で判断をしましょうよ。」
と思う訳です。
先の事例においてもいえることですが、「当時は、」「その事案は、」そのような取り扱いが認められたかもしれませんが、それが、今も認められている、他の事案でも同様に認められるかというと、その保証はどこにもありません。
日々精進。