実際に体験してみることでわかることがある
個人の事務所を本格稼働させてから、独立した会計士や税理士の働き方を実際に見聞きする機会が増えました。
実際に見聞きしたことと、インターネット上にある情報とを照らし合わせてみることで、
「実際のところはこんな感じなのかな。」
と思ったことがあるので、それについて少し書いてみようと思います。
別にどちらがいいといったことを言うつもりはありません
初めにちゃんと書いておきますが、別にどちらがいいといったことを言うつもりは、まったくありません。
何がかというと、元請けとして働くことと、下請けとして働くことについてです。
独立してからの食い扶持として、元請けとしてお仕事を頂くことと、下請けとしてお仕事を頂くことの2通りの方法があります。
税理士として独立開業された方の場合は、元請け(税務顧問など)としてお仕事を頂く必要があるようで(あまり詳しくありませんが、会計士のように監査非常勤などの下請け業務がないためのようです。)、みなさん開業後1年間くらいはなかなか仕事が増えず、貯金を取り崩して生活をするということになるようです。
会計士として独立開業された方の場合は、元請け(財務DDや株価算定など)としてお仕事を頂きたいとは思いつつも、そう簡単にはいかないので、しばらくは、下請け(監査非常勤や、元職場の先輩方からのお仕事など)をして、稼ぐこととなるようです。
(こちらも、周りを眺めて見ていてそう感じているくらいですが。)
この元請けなのか、下請けなのかがはっきりと書かれていない状態で、
「独立してうまくやっています!!」
「前職の年収を超えました!!」
「〇千万円稼げました!!」
と書かれている情報が結構あるように感じておりまして、実際のところはわかりませんが、蓋を開けてみると、ほとんどのケースが、下請けとして仕事を得て、ということなのではないかと思っています。
「お金を稼ぐ」という意味においては、元請けだろうが、下請けだろうが、同じだと思うのですが、「長期的な視点も含めて稼ぐ」と言う意味では大きく違うように思っています。
だますような意図は書き手にはまったくないのだとは思いますが、少しミスリードな気がしており、それらの情報を信じて、簡単に元請けとしてお仕事を得ることができると勘違いした若手会計士が、独立してしまいやしないかと少し不安に感じています。
なんで監査非常勤があんなに嫌だったのかがわかりました
私の場合、自身の事務所の本格稼働後しばらくは、大して儲からないだろうと腹をくくっていましたので、監査非常勤をすることに決めていました。
で、実際に監査非常勤を数カ月やったのですが、我慢できなくなり、すぐに辞めることにしました。
契約先の監査法人の方々には、稼働する日や時間の配慮など、いろいろとご配慮してくださり、本当に感謝しかないのですが、ものすごいストレスだったんですよね。
当時は、そのストレスの意味が自分でも理解できていなかったのですが、この元請けと下請けのことを考えていくなかで、理解することができました。
どうやら、下請けとして働くことにストレスを感じていたようです。
下請けとして働くとなぜストレスを感じるのか?
下請けとして働くことは、収入を安定させるという面においてはメリットがあるのですが、
「自分の事務所にとって有用なことはあるか?」
と言われると、何もないと思っています。
結構な時間をとられてしまいますが、半端に稼げるので、それで満足してしまって、自分の事務所をどのように成長させていこうかなどといったことは、だんだんと、どうでもよくなっていってしまうような気がしています。
これがとても怖く感じます。
気づいたら監査非常勤ばかりを続けて、自分の事務所は開業当時と大して変わらず、歳だけ食ってしまったみたいな状況になりやしないかということです。
さらに、下請けとして働いていると、
「従業員として働いていた頃と、何が違うんだろうか?」
と真剣に考えさせられます。
税務調査を担当していた頃から強く感じているのですが、答えがないことについて、自分なりに考えて、行動して、改善してといった風な働き方が好きで、一番性に合っていると感じています。
それが、監査非常勤などの下請け業務だと、できないんですよね。
言われたことを淡々とやるのみです。
つまるところ
つまるところ、本格稼働をし始めたばかりで、まだまだしょぼい状況ではあるものの、下請け仕事は、お互いに尊重しあえるなど、有益だなと感じた案件以外は、あまり積極的にならないようにしようと決めていますということです。
その方が、長い目で見たら、事務所を安定させるために一番の近道だと思っているためです。
繰り返しになりますが、元請けと下請けのどちらの方がいいといったことを言うつもりは一切ありません。
それぞれ、好きな働き方で働けばいいのだと思います。
自分自身への備忘として、これを書きました。
日々精進。