独立開業事業計画書
一昨年(2021年)の冬に、2022年3月1日から個人の事務所を、本格稼働することを決めていました。
その際に、妻から作成と提出を求められたのが「独立開業事業計画書」です。
「半端な意志で、計画性もなく、独立開業することなんぞ、許さぬ。」
ということだと思い、かなり真剣に作りました。
2022年の終わりに一年の振り返りをしていて、「独立開業事業計画書」を作って良かったなと思ったので、それについて少し書いてみようと思います。
計画vs実績(数値面)
結論からいうと、ほぼ計画通りの実績となっていました。
計画通りの実績というと、なんだかすごいことを達成したように思われるかもしれませんが、実は、何もすごくありません。
もともと、赤字を想定した計画だったからです。
開業にあたって、いろいろな方の書籍やBLOGを読んで情報収集をしたところ、最低でも1年間は暇を持て余し、2年目以降で徐々にクライアントが増えて、ゆっくりと安定していくといったことを皆さん書かれていました。
なので、自分も同じような道を辿るのだろうと思っていたということです。
あと、どんなお客様でもウェルカムですというスタンスは取らず、お取引を始めさせていただく際は、かなり慎重に進めさせていただきましたので、顧問先がじゃんじゃん増えるといったこともありませんでした。
ゆっくりと地に足を付けて、しっかりと丁寧に、一歩ずつ進んで行きたいと思っているためです。
ちなみに、「赤字を想定した計画」とは、個人事業主の青色決算書ベースの営業利益(事業主のお給料が控除されていない)を指すのではなく、営業利益から、生活費や税金や社会保険料を差し引いた金額がマイナスとなることを意味しています。
(税理士業は仕入れがないので、ある程度の売上があれば赤字にはなりません。)
唯一、大きく想定から外してしまったのが、社会保険料と税金です。
前年の所得に基づいて課税されることは知っていたのですが、これまで、前年の収入を大きく下回るという状況を経験したことがなかったため、思っていたよりもインパクトが大きかったように感じました。
(あと、小規模共済も地味にインパクトがありますね。でも止めるともっと損をするという。)
計画vs実績(事業面)
事業面においても、ほぼ計画通りとなっていました。
監査非常勤をすぐに辞めたことと、執筆業務などの当初想定していなかった業務をお請けすることができたという点が、計画からの乖離点です。
事業面においては、まずは、
「村上博隆と言う専門家がここにいますよ。」
ということを知っていただくこと、つまり、認知度を上げることに注力すべきと考えており、すべきことと、すべきではないことの選別はこの観点から判断していました。
無料相談を依頼され、全力で回答してしまうなど、
「ちょっと失敗したな。」
ということもあるのですが、そこは、もともと計画時において、
「何かしらの失敗はするであろう。」
と想定していましたので、むしろ成長の糧になったと思うようにしています。
2023年度の事業計画
収入面としては最低でも横ばいを想定しています。
また、引き続き、認知度UPに注力をしていこうと思っています。
肌感覚でしかないのですが、1年間、個人事務所として活動をした結果として、認知度が上がってきた感覚を持っています。
長期的には、認知度UPだけではNGで、
「この人は信頼できるぞ。」
という安心感も必要だと思っていますので、その点は、今後、ゆっくりと時間をかけて、考えていきたいと思います。
やってみることで初めてわかること
監査法人に在籍していた頃に、IPO支援業務をしていたのですが、
その中で経営者の方に、
「事業計画を作って、予算と実績の分析をしましょう。」
といった提案をするわけです。
先輩方からそのように教わりますし、IPOに関する情報にも、必ずと知っていいほどに、事業計画の重要性が謳われています。
知識としてはわかっていたのですが、実体験に基づく理解が出来ておらず、アドバイスをする身として、どこか気持ち悪さを感じていたのですが、ほんの少しですが、この経験を通じて、事業計画の重要性を理解することができたように思います。
頭の中でもやもやと考えていることを、文字に起こし、人に説明することを通して、鮮明なイメージを持つことができ、そして、1年間などある程度の期間、実際に活動をしてみる。
そして、計画したことがどの程度達成できたのかを振り返り、その振り返りにより得たものを次の計画に活かす、というサイクルを通して、事業を発展させることができるのではないかと思うに至りました。
いうても、吹けば飛ぶようなちっさな事務所の所長としてですので、株主や親会社の役員などから、厳しいチェックを受けている事業者の方からすると、
「何をぬるいことを言っているんだ。」
と思われてしまうかもしれません。
ただ、間違いなく言えることは、
「少しずつ、また、ゆっくりではあるものの、着実に前に進んでいる。」
ということです。
日々精進。