契約書の訂正
契約書をいったん締結したあとであっても、取引金額を変更する場合や、不要になった条項を削除したりすることがあります。
そのためには、覚書などの書面を新たに作成して、変更前後の条項を書いて、変更を行うこととなります。
税務署で印紙税の税務調査を担当していたころは、毎日のように浴びるようにして契約書を読んでいましたし、その後に法律事務所にいた頃に、いろいろな契約書を見てきましたが、いまだに慣れていないのが、表題の「意図的に削除」という契約書の条項の修正の仕方です。
会計監査で出会ったときにびっくりした
記憶ベースですが、一番初めに遭遇したのが、会計監査をしていたときでした。
会計処理を判断するために、契約書をご共有いただいたところ、原契約書と併せて、覚書が提出され、その覚書の内容を読んでいると「意図的に削除」とあったんですね。
もう、衝撃でした。
「意図的に」なのかと。
一番初めの職場が国税ということもあり、何かをチェックする際は性悪説(なんでもかんでも疑うというわけではないのですが)なので、会計監査上何か不都合があったので、「意図的に削除」したのか、、、と思ってしまったわけです。
とはいえ、さすがに、そんなことを正面切って、契約書に書くわけないかと思い、監査先の経理担当者の方に質問をしてみたところ、
「こうやって、修正するのが一般的みたいです。なんか疑っちゃいますよね。」
とのことでした。
条項ズレが生じるのを防ぐため
当時も調べたのかは忘れてしまいましたが、あらためて、なぜ「意図的に削除」という表示するのかについて調べてみました。
ネット情報によると、条文を丸ごと削除してしまうと、それ以降の条項が一つずつズレてしまうので、このように表現して、削除された条項自体は残しておき、条項のズレが生じないようにするとのことでした。
(ネット情報なので裏取りしていません。)
そりゃそうかと思い、解決した気満々になってしまったのですが、よくよく考えてみると解決できていませんでした。
個人的に気になっているのは、なぜ、「意図的に」を付けるのかということなんですよね。
意図的の反対の意味を持つ言葉を考えてみたのですが、
「無意識的に」
「誤って」
といった言葉が妥当するように思われます。
とすると、削除しているけれども、これはちゃんと不要であることを分かったうえで、無意識でもなければ、誤って削除したものでもないですよと明言する必要があるということなのでしょうか。
過去に、契約書の条項の削除の仕方が原因となって揉めた事例があるのでしょうか。
このプラクティスの根源が気になります。
久々に出会い、またリアクションしてしまった
最近、お仕事をしていく中で、また、この「意図的に削除」に出会いまして、不覚にも、また同じリアクションをしてしまいました。
会計監査の時の記憶が薄っすらと残っていたので、
「あぁ、たしか、プラクティスとしてこうやるんだったなぁ。」
とすぐに思い出せたものの、やはり、ちゃんとどういった理由でそういったことをするのかということを理解していないと、すぐに忘れてしまうので、いかんですね。
ちなみに、もうちょっと調べてみたところ、英文契約でも同様のプラクティスのようで、やはり、
「間違って削除をしたものではないですよ。」
という意味で、「意図的に」と書くようです。
日々精進。