がっちりマンデー
2022年8月21日放送のがっちりマンデーで、業界新聞社の方が注目する、新しい商売が紹介されていました。
自動でパスタを作るロボットや、風力発電のメンテナンス用の重機など、いろいろと新しい商品や商売が紹介されていたのですが、その中で御徒町の会社の宝石の販売方法がおもしろいなと思いました。
御徒町ジュエリータウン
上野から御徒町までの通りは、一般的には、アメヤ横丁が有名かと思いますが、すぐお隣に御徒町ジュエリータウンという宝石の問屋街があります。
御徒町なので、もちろん日本なのですが、日本人よりも外国人の方の比率の方が高く、日本とは少し違う独特の雰囲気があります。
お店の軒先にジュエリー(おそらく屑石?)がディスプレイされているのですが、問屋街なので、小売りはしていません。
もう、だいぶ昔ですが、私が税務調査を担当していた頃に、宝石業界の税務調査を経験することができたので、業界のこと(単に、どこから仕入れて、どのように加工して、どこへ卸されるのか、くらいですが)について、いろいろと勉強することができました。
新しい宝石の売り方
放送の内容によると、フィリピンでは、日本の宝石はきれいで偽物が少ないということで人気があり、日本にわざわざ買いにいらっしゃる方がたくさんいたとのことでした。
ところが、コロナの関係で訪日が難しくなったので、その販売が減少。
御徒町にあるとある会社は、日本に住んでいるフィリピン人(売り子さん)にライブ配信で現地のフィリピン人に宝石を販売してもらうという商売方法を思いつき、それがうまくいっているという内容でした。
商流は、この会社から、売り子さんに宝石を販売し、売り子さんは仕入れた宝石を、ライブ配信で売るという方法とのことで、売り子さんは自分で値決めをして良いので、差額が利益になり、頑張って売ろうとするとのことでした。
仕組みがうまい
フィリピンのポテンシャルに注目した商売が広がってきているなと思っています。
私はWEB型の英会話レッスンを受講しているのですが、講師陣はフィリピン在住の方々です。
フィリピンの公用語はタガログ語(講師によると、島によっては別の言葉(方言?)を話すそうです)なのですが、学校などの日常会話はすべて英語なので、英語がほぼ母国語となっています(というか若い人は英語しか話せない人も多いらしいです。)。
そして、アメリカやヨーロッパ諸国などの英語圏で働いていた、もしくは、本社が英語圏の国にある会社のカスタマーセンター(フィリピンにある会社が行っている)で働いていた方が多くいらっしゃるので、実際のビジネスの経験がある講師陣が多くいらっしゃり、利用者(生徒)としても、とても良いサービスです。
また、日本とは物価水準が違うので、運営会社としては、コスト面において、日本に住んでいる英語ネイティブを雇うのに比べると安く済むというメリットもあるようです。
そして、フィリピン人(講師陣)としては、日本との時差は1時間(向こうが遅い)とそこまで大きくなく、先に書いたように遠く離れた英語圏向けのサービスをしていた経験から、時差のある環境で働くことにそこまで違和感を持たないということ、英語圏の国の方はアジア諸国を少し見下した感じで接してくることがあるが、日本人にはそういったことをする人が少ないので安心できるということもあるようです。
これらのメリットをうまく利用してビジネスを行っているので、「うまいなぁ~」と思っていました。
さきほどのジュエリー販売の場合
日本に在住されているといっても、育ちはフィリピンですので、英語とタガログ語が堪能です。
なので、フィリピン在住の方とのコミュニケーションにおいて、言語の壁はありません。
そして、日本人が外国に行ったときに、日本人とコミュニケーションがとれる環境にあると安心するのと同様に、フィリピン人同士のコミュニケーションですので、現地の人としても安心感があるのだと思います。
さらに、「すごいなぁ」と思ったのが、嗜好の違いを活かしている点です。
日本では、ジュエリーというと、透明色や白を基調とした落ち着いた色が一般的に好まれるかと思いますが、フィリピンでは、ゴールドなどのカラー色のジュエリーが人気なのだそうです。
記憶ベースなので間違った情報かもしれませんが、ダイヤと言うと透明であることが品質の面においては重要で(ダイヤの4Cの一つ)、カラーダイヤといって色がついているダイヤは、日本におけるダイヤの品質としてはそこまでよくない(私が税務調査をしていた頃は、カラーダイヤやブラックパールを新しく世に売り出していこうといったことをされていたように記憶しています)ので、日本ではあまり好まれないものを販売する、うまい方法だと思いました。
職業柄、税務に関連付けて考えてしまいます。
「へぇ、すごいな~」
で思考を終わらせておけばいいのかもしれませんが、税務でいろいろと考えてしまいます。
まず気になったのが、輸出免税は誰が受けるのか?という点です。
御徒町ジュエリータウンには宝石を輸出している会社がたくさんあります。
そして、それがメインの売上となりますので、消費税が還付となるのが一般的です。
なので、勝手なイメージでしかありませんが、ジュエリータウンにある会社の方は、海外への販売には、消費税がかからないというイメージを持たれているのではないかと思います。
大枠ではあっているのですが、厳密には消費税がかかる場合もあります。
放送の内容によると、今回の商流は、御徒町にある会社は、日本国内で、ジュエリーをフィリピン人の売り子さんに販売している(引き渡している)とのことでしたので、この場合は、輸出免税にはなりません。
商流だけで考えると、この売り子さんが輸出免税を受けることとなります。
ただ、宝石の販売は、「かばん屋」といって、委託販売(商品を仕入れているのではなく、預かって、代わりに販売をしている)という形態がよく取られます(まだ「かばん屋」というのでしょうか?古いですかね。)。
今回の件も、テレビでの紹介では、「売り子さんが仕入れている」といっていましたが、実際は、売り子さんにとっての仕入値は決まっていて、それをいくらで売るかはお任せしているというだけで、受託販売(在庫を持っているわけではない)をしているのではないかなと思われます。
また、宝石の輸出時は通関が必要で、その手続きを売り子さんが出来るようにも思えないので、この観点からも委託販売の方が現実的じゃないかなと思います。
そのほかにも、細かな点が気になったのですが、人様の商売を税務の観点からあまり詮索すべきではないようにも思いますので、ここらへんで止めておこうと思います。
御徒町ジュエリータウンが懐かしかったので少し書いてみました。
日々精進。