所得税の確定申告をあらためて勉強中
これまで、国税職員や税理士として働いてきましたが、がっつりと所得税確定申告に関与する機会がなく、基本的なことであっても、一応調べてみたりしています。
(座学では学んだが、実戦に基づく学びも大切。)
今回、所得税確定申告書の提出先について、調べる機会がありましたので、記憶を定着させるために少し書いてみます。
納税地
申告する人の納税地を所轄する税務署が、申告書の提出先となります(所得税法15条、国税通則法21条)。
納税地を端的にいうと
「住んでいるところ」
でして、住んでいるところ以外に事務所がある場合は、事務所の所在地を納税地とすることもできます(「納税地の特例」所得税法16条)。
私は個人事務所を稼働させる前は、事務所の所在地(東京都千代田区丸の内)を納税地としていました。
その後、個人事務所の稼働にあたって、事務所を別の場所に設けたのですが、その場合は届出(所得税法20条)が必要でして、
「今後のことを考えると、事務所の場所が変わった際の届出が面倒だなぁ。」
と思い、「住んでいるところ」を納税地にしました。
(特例をやめました。)
引越しした場合
住んでいるところを管轄している税務署へ提出するということはわかったけれども、
「いつの時点で判定するのか?」
という疑問がわきまして、調べてみました。
(法人税だと、即答できるのですが、なぜか迷う。)
国税通則法21条第1項を読むと、
「納税申告書等は、その提出の際におけるその国税の納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない」
とされていました。
「その提出の際における」
とありますので、
「よし!今日提出するぞ。」
という日で判定することとなります。
(なんか文章で書くと、ややこしいのですが、引っ越しをしていようが、引っ越しを予定していようが、申告書を出す時点のお住まいを管轄している税務署に出してくださいということです。)
No.2029 確定申告書の提出先(納税地)|国税庁 (nta.go.jp)
とはいえ、間違った提出先に申告書が提出されることも生じてしまうのですが、その場合は受理した税務署長から管轄の税務署長へ申告書が送付されることとなっています(国税通則法21条第2項、第3項。)。
ただし、税務署の窓口で違う税務署の申告書が提出された場合は、管轄の税務署をご案内していた記憶があるので、無条件にどこの税務署でも受け付けているということではないと思います。
なお、「その提出の際における」とありますので、たとえば、過去数年分の還付申告をする場合で、過去にお住まいを転々とされている場合であっても、提出時点の税務署に提出すればよいということとなります。
昔の源泉所得税の納付先が原因でごっちゃになっている?
私が税務署にいた頃は、源泉所得税は、支払いの時の管轄の税務署に納付する必要がありましたので、それとごっちゃになってしまっているのかなと思います。
税務調査などで、過去に遡及して認定賞与などの所得税の課税漏れを把握した場合は、その時々の税務署に連絡して、告知処分をしてもらっていたんですよね。
(税務職員にとっても面倒な制度だったと思います。)
この源泉所得税の納付先については、とうの昔に改正が入っておりまして、調べてみましたところ、平成23年度の税制改正でした。
もう10年以上前の知識に引きずられているなんて、なんてこったい、という状況ですが、こうやって、少しずつ、所得税に関する知識を喚起しつつ、アップデートしていこうと思います。
日々精進。