ずいぶん前から議論されていたトピック
2023年4月23日(日)の日経新聞の朝刊に、「リース取引、資産計上へ」という記事がありました。
原則としてすべてのリース取引について資産計上を求めるように会計基準が変わる(草案が公表される)という内容の記事です。
現在は、リース取引であっても、オペレーティングリースに該当する場合や、ファイナンスリースに該当しても金額基準などがある関係で、すべてのリース資産が貸借対照表に資産として計上されているわけではありません。
たとえば、コピー機のリースは、通常はオペレーティングリースに該当するので、資産計上はせずに、リース料を費用計上しているだけだと思いますが、これについても資産計上が必要となる可能性があるということです。
(最近、このトピックへの興味がなくなっていたので、議論についていけていないので、こういった細かな物まで資産計上が求められるのか忘れました。草案が公表されたら確認します。)
PL面ではなく、BS面のインパクト
未だにこの感覚が抜けないのですが、会計基準の改正による影響を考えるとき、改正前後のPL面のインパクトで考えてしまいます。
(税務調査をやっていた頃から進歩していない。)
その観点からですと、今回の改正は、そこまで影響は大きくないのではないかと思ってしまいます。
ただ、今回の改正による影響はBS面にあります。
多店舗小売りや営業拠点がたくさんある会社では、貸借対照表(BS)の資産と負債がぶくっと両膨らみするというインパクトがあります。
ぶくっと膨らんで何が変わるかと言うと、総資産利益率などの、資産の金額をもとにして、経営をどれだけ効率的に行っているかを計る指標が悪化します。
(分母の総資産額が大きくなるので。)
記事によると、リース料に含まれる利息相当額が営業外費用に計上される関係で、EBITDAが良くなるといったことも書かれていました。
(これは、かなり大きな会社のみの影響のような気がしますが。)
業法などで、会計基準の考え方を用いている場合も
もうだいぶ前の話なのですが、業法の観点から、リース基準を検討したことがあります。
特定の業種に関するお仕事をされている方にしか関係がない(検討する必要がない)と思われるのですが、業法で、たとえば、ファイナンスリースの定義を定めている場合などがあり、その定義が、会計基準の考え方を条文上はそのまま用いているように見える(多少、表現などが異なるため、完全一致ではないようです)ため、会計基準の改正動向によって、業法の観点から、対策が必要となるといったこともあるようです。
この検討を経験するまでは、会計基準が税法以外に影響することがあるなんて、全く知らなかったので、びっくりしたのを覚えています。
会計士をやっていると、会計基準の改正は頻繁に行われているように感じますし、意識するべきことは、利益へのインパクトと税務上の取扱いくらいかななんて思ってしまいますが、意外にも、多方面に影響があることを知ると、思っているよりも会計って重要なんだなと思ったりして少し嬉しかったりもするわけです。
日々精進。