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組織再編の会計処理を税法基準で行うことは間違いなのか?

お仕事のはなし

IPO支援業務

監査法人に勤めていた時は、トータルサービス事業部といって通常の会計監査以外にIPO支援も行っている部署に所属していました。

IPO支援の入り口として、まず課題調査を行って、上場企業を目指すにあたって会計上必要となる事項を明確にします。

そして、期首残高調査といってBSの期首時点の残高を上場企業に求められるレベル感での会計基準でのあるべき数値に修正するということを行います。

上場を目指し始めた会社は、普通は税法基準で会計処理を行っているので、たとえば引当金の類は計上されていませんし、収益認識も税法基準なので会計のあるべき認識時点に比べて早く、棚卸資産の評価損や固定資産の減損なども一般的には行われていないと思います。

といった具合にさまざまな事項の調整(基本的には利益が減る方向)が入るのですが、その中で、組織再編の会計処理が税法基準となっていることを、
とある会計士が、
「税理士が組織再編の会計処理を行っていたが、めちゃくちゃ間違っていた」
と言っていたり、

ちょっと話は変わりますが、会計監査でクライアントに株価算定書の取得をお願いしたところ、財産評価通達に基づく株価算定書が出てきて、
「こんなの株価算定ではない」
といったことを言っているのを聞いたことがあります。

中小企業では税法基準が一般的なのでは?

組織再編の会計処理について、税法上非適格再編に該当するところ、会計上は共通支配下の取引に該当するといった類の違いなのか、グループ法人税制の影響なのか、のれんの中身をPPAなどで詳細に検討するといった処理がなされていなかったのか、純資産の部の引継ぎ処理が違ったのか詳細はわかりません。

ただ、上場企業や上場準備会社などの会計監査を受けているような会社以外で、会計処理を税法基準以外で行っている会社を探す方が難しいのではないかと思っています。

また、株価算定についても、とある書籍で読んだのですが、中小企業の株価算定においては、DCF法などのあるべきと言われている株価算定で行われた株価算定結果と、財産評価通達に沿って行った株価算定結果に大きな開きはないという情報にあたったことがあります。

もちろん期首残高調査においては、修正していただく必要があると思うのですが、間違いだと決めつけたような物言いをしていいものなのか?と疑問に感じています。

広い視野を持った柔軟な専門家でありたい

会計士だけに限ったことでは決してないと思うのですが、自分が知っていること、経験したことのある範囲のみが正しくて、それ以外は間違っているという非常に狭いものの見方・考え方をしてしまっている方がいらっしゃるように思います。

何に重きを置いて物事を判断すべきなのかは会社の置かれているステージによって違ってくるように思っています。

中小企業の場合は、税務がかなりのウェイトを占めるように思いますし、上場企業を目指すのであれば、監査法人のお眼鏡にかなうような会計処理を行えるようになる必要があります。

上場企業の中でも大きめの会社となってきた頃には、会計税務といった小さな世界だけでは話は完結せず、法務、人事労務、事業部の意向など、さまざまな観点が絡み合ってきます。

そんな中で「税務が、会計が、」と言っていたところで、アドバイザーは務まりませんし、なんか視野が狭い頭でっかちの専門家みたいでつまらないように思います。

ちなみに、税理士・会計士・弁護士のそれぞれに、取引の実行の可否などを判断するにあたって法務・会計・税務のいずれが一番重要と考えるかをそれぞれ聞いたことがあるのですが、税理士の答えは税務、会計士の答えは会計、弁護士の答えは法務でした。

これについて私は、
「全部重要だけれども、全部をきれいにかなえることは、実際はかなり難しいのでバランスが重要。それ以外にも事業戦略などの重要な要素はたくさんあるので、法務・会計・税務は致命傷にならないように気を付けることが必要」
と考えています。

こうやって意識していても、お仕事でお話しているときは、会計・税務頭の人になってしまっているかもしれませんが。

日々精進。

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