コラム

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税務調査で高い低いの話はしない

会計監査のはなし

無償譲渡の受贈益の計上

国税当局は神様のように理論的に正しければすべてを更正決定できる(している)という風に思うかもしれないが、実際はそのようなことはないように思う。

たとえば、居抜きで賃貸借契約をした場合で、前賃借人が退去時に置いて行った店舗設備を無償で譲り受けた場合は受贈益を計上する必要があるか?

答えはYES。無償による取引であったとしても法人税法上は時価取引を擬制して、時価で店舗設備を資産計上し、見合いで受贈益を計上する必要がある。

では、前賃借人から店舗設備の一覧表として固定資産台帳の共有を受けていたため、未償却残高を時価であると整理して受贈益を計上していた場合、未償却残高は時価ではないとして時価と受贈益計上額の差額について更正決定を受けることがあるか?

答えはNO(絶対とは言い切れないが)。なぜなら、店舗設備の時価を算定することが実務上難しいからである。

価値の高い低いは認定できるのか?

この無償取得による受贈益計上の論点について相談を受けたことがある。

事の発端は、とある法人の顧問税理士とは別の関与税理士が、当該論点について受贈益を計上する必要があると指摘したことにある。

この指摘に対して、顧問税理士が「昔はこんな課税はしなかった。受贈益の計上は不要。」と回答をしたため、板挟みになった経理担当者から相談を受けたのである。

そのとき私は、
「国税はイチかゼロの話はするが、高い低いの話はしない。だから帳簿価額でもいいから受贈益を計上してはどうか。」
とアドバイスをした。

国税調査官の立場から見ると、受贈益の計上漏れを指摘するためには、物理的に存在しているものを見つけ、「ここに価値があるものがありますよね」という指摘をすればよく、その価値がいくらということまで言及する必要はないため、指摘をしやすい。

しかし、価値の高い低いの話となると「ここにある設備の中古品としての時価は○円であるべきで、帳簿価額と〇円相違しており、受贈益計上額が過少となっている」という認定をする必要があるのだが、国税職員が設備の時価について明るい訳はなく、株価算定のように時価の算定方法について、税法上決まったルールがある訳でもないため、時価を認定することはそうたやすいことではなく、指摘するにはハードルが高い。

そもそも、「受贈益で計上すべき」といった指摘すらしていないんじゃないかとも思っていたのだが、資産計上をまったくしていなかった事案について否認されたというお話を聞く機会があった。どうやらそのようなことはないようである。

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