コラム

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印紙税という法律

印紙税のはなし

財務省より「令和元年度租税及び印紙収入決算額調」が公表されていた。

印紙税の税収は約1兆円であり、所得税19兆円、法人税11兆円に比べると金額的に劣るものの酒税1.2兆円と肩を並べ、関税9,400億円に勝っており、「印紙税よ、なかなか重要な税金ではないか」という印象を持った。

このように税収という意味では割と活躍している印紙税であるが、実務においてよく遭遇する割に詳しい専門家があまりおらず、そのルールも他の税目と違い一風変わったものであり(いい意味で形式的な側面が強い)、質問を受ける身としてはすこしやっかいな税金であると思っている。

実は、身近な書面が印紙税の課税文書として取り扱われている。

例えば宅急便の送り状。
(赤枠内に送り先の住所と送り主の住所、品名などを書くぺらぺらした用紙のこと)

これは、1号の1文書「運送に関する契約書」として原則として課税文書に該当する。
しかし、良く見てみると、用紙の右下にすごく小さな字で「運送料一万円未満」と書かれており、この記載により印紙税は課税されないという取り扱いとなっている。
(主な非課税文書として、「記載された契約金額が一万円未満のもの」と印紙税額の一覧表に記載されており、「運送料一万円未満」という記載でこれに該当するという整理。)

ちなみにこの記載がなく、かつ、具体的な運送金額の記載もない場合は、「契約金額の記載のないもの」として一枚につき200円の印紙税の貼付が必要となる。

一枚につき200円なら大したことないのでは?と考えてしまうかもしれないが、印紙税の恐ろしいところは利益を課税標準としていない点にある。

仮に運送料が200円だったとして、その運送料の記載がなかった場合は、200円の印紙を貼付する必要が生じるため、売上200円-印紙税200円=0円(実際はこれに人件費などがかかっているので赤字となる)となってしまう。これでは印紙税を納付するために荷物の配送をしたようなものである。

また、印紙税には法人税のような欠損金の概念はなく、所得の有無とは無関係に課税を受ける。しかも、文書課税であるため、同じ契約書であっても作成した通数に応じて印紙の貼付が必要となる。
不特定多数とかわす書面となるとそれなりにインパクトがでかい。

このように、割と重要な税目ではあるものの、ぞんざいな扱いを受けているように思っている。

国税在籍時に印紙税の税務調査を担当していたことがあるが、臨場時に納税者から、「印紙税の調査って意味あるの?」と真顔でよく質問された(若い調査官が相手ということもあり、この手の質問もしやすいのかな?と当時は理解するようにしていた。自分の仕事を真っ向から否定されているような気分になるのは避けることができないが。)。

私自身も印紙税の調査を担当するまでは同じような思いを持っていたので、質問したくなる気持ちはわからなくはない。

これ以外にも「印紙税ってなくならないんですか?」という質問をよく受けた。
詳しいことは存じないが、それなりに税収があって、所得税や法人税のように徴税コストがかかっていない(基本的には納税者が自ら判断して、印紙を購入して、契約書に貼付して終わり。税務調査の頻度も他の税目に比べると格段に低く、担当している税務職員数もかなり少ない)ので、なくなることはないと思われるといった回答をしていた。

昨今、コロナの関係で、電子契約についての議論が行われている。電子契約が普及すれば、書面で契約書を作成する場面が相当減るによう思われ、そうなれば印紙税に遭遇する場面も減ることとなる。電子契約が早く普及しないものかと切に願っている。

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