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労働保険料の会計処理と税務処理

会計のはなし

税法決算における会計処理

IPO支援等で税法決算から会社法決算へ変更するにあたって、従業員の給与にかかる社会保険料等の会計処理を修正することがよくあります。

税法決算での一般的な会計処理は、概算保険料を納付した時に事業主負担分を全額費用処理し、翌年の7月に納付することとなる確定保険料と概算保険料との差額のうち、事業主負担分を支払った時に費用処理します(ほかにもいろいろな会計処理のテクニックがあるようです。)。

税務上は労働保険料のうち事業主負担分は、申告書を提出した日又は納付した日の属する事業年度において損金算入することができることとしているので、上記の会計処理をしていれば、税務上損金算入時期が問題となることはありません。

会社法決算における会計処理と税務上の取り扱い

ところが、上述の会計処理は、給与の発生とそれに応じた社会保険料の計上がされていないこととなりますので、会社法決算においては認められない会計処理となります。

具体的には、毎月の給与計上時に給与計算の際に算出した社会保険料の額などを参考にして社会保険料を計上し、概算保険料が不足するとわかった時点で、その差額について、従業員から徴収した金額については預り金として計上し、事業主負担分を未払金として計上する必要があります(仕訳で見たい人はググってください。)。

この未払金として計上した金額について、税務上は申告書の提出も納付も未了であることから、原則として不足額が生じた事業年度において損金算入できないこととされています。

ただし、3月決算法人においては、確定保険料に係る保険年度(前年4月1日から当年3月31日まで)が終了していることから、確定保険料にかかる申告書の提出前であっても、当該不足額が債務確定しているとみる余地があるため、不足額を未払金計上して損金の額に算入することが例外として認められています(法基通9⁻3⁻3(2)ただし書)。

よって、3月決算法人であれば上記通達による取り扱いにより損金算入され、会社法決算と税務上の取り扱いが一致することとなり問題となりません。

しかし、たとえば小売業のように2月決算が一般的な業種など、3月31日が決算日ではない会社においては、確定保険料に係る保険年度が終了していないことから、上記通達による取り扱いは認められないこととなるので注意が必要です。

税務調査による否認

労働保険料の不足額は、従業員数が急激に増加したり、給与ベースが上がった場合に生じやすいようですが、労働集約型産業に属する企業で、企業規模が拡大している会社では、その不足額が比較的多額となる傾向があるように感じています。

そして、規模が大きくなることで税務署所管法人から調査部所管法人に変わった法人の否認項目としてよく目にするように思います(税務署の所管法人は、税法決算によっている会社がほとんどですので論点とならないのではないかと思います。)。

期ズレですので、指導事項で済むのでは?とも考えられるのですが、この論点は会計検査院もチェックするため、指導事項にすることはよほど少額でない限りは難しいようですので、ご留意ください。

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