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ポイントに関する消費税の取り扱いがあまり好きではありません

消費税のはなし

「法的な評価」の意味をわかる人っているんでしょうか。

ポイントに関する消費税の取り扱いがあまり好きではありません。

なぜかというと、「法的な評価」という言葉に、国税庁や税理士や納税者が翻弄されている印象を受けているからです。

おそらく、公認会計士が好んで使う「経済的実質で評価」と同じで、その士業にしか勘所はわからないのではないかと思っているのですが、「法的な評価」という言葉の意味を、法律を専門としていない人でも納得できるくらいにかみ砕いて説明できる人っているのかな?と思っています。

税務関係の読み物で、ポイントに関するトピックが頻繁に取り扱われていた頃は、意識的にこの論点を避けていたのですが、最近は、みなさんの興味がインボイスや免税店に向かっており、今後はこの論点の議論が少し落ち着いてくれそうな気がしたのと、税務通信で関連する解説記事がありましたので、これについて少し書いてみようと思います。

国税庁が公表した処理例

ポイントに関する処理例として、国税庁が公表したものがあります。

0019012-152.pdf (nta.go.jp)

これは、これが公表される前にいろいろとあった、ポイントの消費税の処理に関する議論に対して、国税庁のスタンスを間接的に示すために公表されたものという風に、私は理解しています。

そして、その処理例を見ると、ポイント制度の加盟店がポイント運営業者に支払うお金は、消費税の課税対象とはならないとされています。

処理例の注書きでは

「対価性がないこと(消費税不課税)を前提とした処理としている。ポイント制度の規約等の内容によっては、消費税の課税取引に該当するケースも考えられる」

というディスクレーマーが置かれていますが、これをそのまま真に受ける人はさすがにいないと思います。

ポイント制度に関する消費税の議論が過熱し始めたあたりから、だいぶ迷走している感じはありましたが、この処理例の公表で、より一層迷走している感じが増したように思います。

事業を行っている人が、何の見返りもなく、お金を支払うと思いますか?

まったく「法的な評価」を伴った考え方ではないことはわかっているのですが、

「事業を行っている人が、何の見返りもなく、お金を支払うと思いますか?」

という質問に対する答えで消費税を判定すれば、よりシンプルな取り扱いで、かつ、消費税を実際に支払うこととなる納税者の方も納得しやすかったのではないかと思っています。

消費税がかからない取引(不課税)というのは、対価性がないもの(何の見返りもないもの)です。

なので、お金をあげただけという状況でない限り、対価性ありと見て良かったのではないかと思うということです。

「対価」と「見返り」の結びつきの強弱であるとか、ポイントの原資を支払っただけであるといった観点から、消費税の判断を試みた結果、もはや、誰にもわかりませんという取り扱いになってしまっているように思います。

深い専門的知識や経験をお持ちの方々が議論されての結論ですので、きっと、突き詰めていくと、この取り扱いがみなさんにとって納得が行くということなのかもしれません(ここでいう「みなさん」は世間一般と言う意味ではありません。)。

ただ、

「この議論で、得をしている人って誰なのか?」

を考えてみたりすると、実務をやっている側からすると、

「もう止めてくれよ。シンプルでいいじゃん。」

と思うのではないかと思っています。

大阪高裁判決(令和3年9月29日判決)

一人の税理士が何か言ったところで、何か変わるわけでもないので、そういったものか、くらいに捉えるようにしていたのですが、大阪の会社の更正の請求が認められなかった事案を税務の読み物で知った時に、とてもびっくりしました。

更正の請求が認められないということは、ポイント交換に伴って、資金を収受しただけで、その受け取った側は課税売上になるということを意味していたからです。

納税者からしたら、「えっ?」って感じですよね。

「払った側が不課税なのに、もらった側は課税ですか?」と。

訴訟の結果、高裁で納税者が勝訴したのでよかったですが、一審(地裁)では納税者敗訴ですし、そのまま、高裁が一審と同じ判断をしていたらと思うとぞっとします。

これも先の考え方の延長で、受け取った側が対価ありと考えているのであれば、支払った側もそれに沿って処理し、対価なしと考えているのであれば、支払った側もそれに沿った処理をすれば良いとすれば良かったのではないかと思うわけです。
(消費税制度の根幹云々といった大上段の議論をするつもりはありません。)

「受け取った先の消費税の処理で、支払い側の処理が決まるなんてナンセンスだ。」

と言われるような気がしますが、クレジットカードなどのサービスの利用時に加盟店が支払う差額分の取り扱いが、債権譲渡構成なのか、それとも役務提供構成(なんか名称が違う気がする。が、調べることを放棄。)かで、消費税の課税対象となるか否かが決まるという論点がありますが、信販会社から送られてくる通知書面に、消費税の取り扱いが書かれているので、それに沿って、加盟店側は消費税の処理を行うということが実務で行われているという理解で(約款を真剣に読み込めば書いてあるのかもしれませんが、それをしている人に出会ったことがありません。)、それで実務が回っている(たまに間違う税理士さんもいらっしゃいますが。)ので、それと同じで、なんとかなったんじゃないかなと思っています。

税務通信3734号の解説

税務通信3734号に、この税務訴訟の代理人をされた弁護士の方の解説が掲載されていました。

綺麗にまとまっており、読みやすかったので、とても勉強になりました。

この記事、デジタルで見ると、読むのがつらいのですが、紙に打ち出して、30分くらいかけてゆっくり読めば、ある程度の消費税の知識がある人であれば、紹介されている学説や、訴訟の争点など、訴訟の内容を理解できるのではないかと思います。
(丁寧な解説に感謝です。)

ただ、この記事にも「法的な評価」という表現が使われていたのですが、この段落だけは書かれている内容がまったく理解が出来ませんでした。

「税法とは、法律だから、法律を専門にしていない人が、感覚で思いつくような方法での判断ではいかんぜよ。」という意味なのでしょうか。。
(先の、シンプルな取り扱いがまさにこれですね。)

せっかく、分かり易いとても良い解説なのに、この売り文句の一文で、げんなりしている税理士や経理部の方、結構いらっしゃるのではないかとも思います。

決して、筆者の方を攻めたいわけではないのですが、「法的な評価」という言葉を置いて、それがわからない人たちを置いてけぼりにしていく行為がなんとなく腑に落ちないんですよね。

きっと、ここに具体例が示されて説明されていて、そして、それが、この解説の内容にうまく関連させることが出来ていれば、すっと受け入れられたように思うのですが、(もしかしたら、読む人が読めばそのような記事になっているのかもしれませんが)私は残念ながら、そのように読めませんでした。

消費税が混沌としてしまっている

税率が3%や5%の頃は、誰も消費税に見向きもしなかったのに、8%、10%と税率が上がって、税額のインパクトが大きくなってきてから、いろいろな方が、消費税に注目し始めているように思います。

注目されること自体は何の問題もないと思うのですが、それぞれの観点から、いろいろな説明や主張をし始めた結果、大渋滞を起こしてしまっているように感じています。

税務訴訟になった場合の勝ち負けなんて気にせずに、国税庁がその方針を示すことができたのであれば、「法的な評価」からの検討は、後付けで何とかなったんじゃないかと思うのです。
(「税法は法律だ。」とかそういった議論は措いておいて。実際にみんなが困らないようにするためにはどうしたら良いかを考えるとです。)

一時期、訴訟に負けまくった時期から、「法的な評価」を意識し過ぎた結果、国税庁も交通整理をしきれなくなってきているように感じます。

繰り返しになりますが、シンプルな判断の方がいいんじゃないでしょうか。

仕事納め

今年最後の記事は、少し真面目な内容を、かといって、さして論文などを調べることもせず、好き勝手に書いてみました。

それがこのブログの方針ですので、悪しからず。

本日にて仕事納めなり。

よいお年を。

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