とある経済誌の記事
週に一回は近所の書店を回って、おもしろそうな書籍が発売されていないかをチェックしています。
併せて、経済誌にもざっと目を通してみて、興味がある記事があれば、購入して読んでいるのですが、本日、購入した経済誌に、たまたま税務調査に関する記事がありました。
興味があったので、読んでみたところ、結構残念なことになっていました。
勘違いされているのでしょうか
「国税OBの誰かが記事でも書いたのかなぁ~」
と思って目を通してみたところ、そうではなく、記者の方が書かれていました。
詳細は当該誌を購入して読んでいただければと思いますが、ざっくりいうと、減損を計上していたところ、税務調査が入り、
「税務上、減損は認められない。その結果、赤字から黒字になる」
と言われ、調査官と議論しようとしたが、まったく取り合ってもらえなかった(ひどい!!)といったものです。
ある程度、会計と法人税の知識がある方であれば、お分かりになると思いますが、税務上、評価損なりが認められる場面はかなり限られていますので、まったく取り合ってもらえなかったとしても当然なんですよね。
赤字から黒字になるのは、単に減損の金額が大きかったからではないでしょうか、、、と思う訳です。
減損という言葉は専門用語ではありますので、何か別のものと勘違いされた可能性もありますが、それにしても、記事として公表する前にちゃんと調べてみようと思ったりしないものなのでしょうか。。
お忙しかったんですかね
各記事の最後に執筆された記者の方のお名前が書かれているのですが、この方、このほかにもたくさんの記事を書かれていました。
なので、一つの記事にかける時間があまりなかったといった状況だったのかもしれません。
有名どころではない雑誌が、この手の記事を書いていても、
「まぁそんなもんだよね。」
と、もともと期待値が低いので、あまり気になりません。
ところが、有名どころの経済誌ですと、記事の内容の信頼性を期待して購入しているので、こういった残念な記事を見つけてしまうと、そのほかの記事の信頼性も疑いたくなってしまいます。
今回はたまたま私の専門分野に関する記事だったので、簡単に間違いに気づけましたが、他の分野の記事も、専門家が見るとおかしなことになっている記事があったりするのかもしれないなと、少し疑心暗鬼になってしまいました。
国税庁OBという表現
ちなみに、税務調査に関する情報で、「国税庁OB」という表現を使っている情報は、総じて、信憑性が低い気がしています。
なぜかというと、税務調査に明るい国税OBは「国税庁OB」と言うことに抵抗があるためです。
(つまり税務調査に詳しい人間が記事の作成に関与していない。)
国税庁とは国税局の上の機関で、税務調査は行っていません。
そして、ノンキャリでも国税庁に行くことはありますが、基本的には財務省キャリアか国税庁キャリアの方がいる場所です。
(キャリアさんは一年くらい経験のために、税務署で税務調査を経験することもありますが、語るほどの経験は積まないと思います。期待役割が別のところにありますので。)
なので、現場仕事を経験してきた身として、その上級官庁の出身者であることを意味する「国税庁OB」とは言い難いということです。
大きな観点で税務行政を語ってもらうには「国税庁OB」の方は適任なのだと思うのですが、いわゆる現場仕事の税務調査を語るには「国税庁OB」の方は適任ではないと思います。
外部の人からすると細かな違い
高校卒業と共に、東京国税局に採用され、東京に来たのですが、採用された当時、高校の同級生に、
「東京国税庁に採用された。」
と説明していたのを覚えています。
嘘をついていたという訳ではなく、
「東京にある、国税なんとかというところ、あぁ、確か、国税庁!!」
という流れでそうなっただけです。
(今、思うと恥ずかしいです。)
あと、監査法人にいた頃に、税理士法人のパートナーの税理士さんに、
「村上さんは国税庁にいらっしゃったんですよね?」
と言われ、高卒のノンキャリであることをお伝えしても、まったく理解していただけなかったことがありました。
法律事務所のパートナーの弁護士さんからも、
「国税庁出身の村上税理士」
と何度も紹介していただいたことがあります。
(状況に応じて、スルーしたり、しなかったりしていました。)
とまぁ、士業でもこんな感じなので、どうでもよい違いなのだとは思うのですが、知っている人間が見ると、えっ、、、となってしまうわけです。
国税庁OBのコメントもなかなかおもしろい
当該記事には国税庁OBのコメントが引用されていたのですが、
「本当にこんなこと言ったのかな?」
「脚色されてはいませんか?」
みたいなことが書いてありました。
記事によっては実名+国税OBであることが記載されていたりしますが、さすがに、この内容だと実名は出したくなかったのではないでしょうか。
このコメントをされたOBの方、ご自身の発言が記事になる前に、記事の内容って見れたのでしょうか?
電話とかでさらっと聞かれたことが書かれてしまったのか、そもそも聞いてすらいないけれども、聞いたていにしているのか。。
う~ん、結構好きな経済誌だったんですけどね~。残念です。
日々精進。