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【税務調査】会計監査と税務調査における金額感はどのように違うのか?

会計監査のはなし

会計監査と税務調査の違い

よく言われる違いとして、会計監査での指摘はキャッシュアウトが生じないが、税務調査における指摘は追徴税額という形でキャッシュアウトが生じるというものがあります。

また、会計監査は税額(未払法人税等)で判定するが、税務調査は取引金額で判定するという違いもあります。

会計監査と税務調査はその目的が違うので、さまざまな違いが生じることは当たり前ですし、違いが生じていることに問題があるとは思いませんが、税務調査を経験した後に会計監査を経験した時、会計監査を経験した後に税務調査対応を経験した時のそれぞれで感じたことがありました。

会計監査における金額感

各項目の算定方法は省きますが、たとえば税引前当期純利益が数百億円の企業の場合、僅少許容金額は数千万円、重要性の基準値や手続き実施上の重要性は数億円といった金額感になります。

監査計画を作成するにあたっては、この重要性の基準値などをベースにして監査対象とする勘定科目を選定して(この段階で年間計上額が少額の勘定科目は監査対象から外れます)、監査対象とした勘定科目を検討する際のサンプル抽出であったり、誤りが発見された場合の監査法人としての対応も、この重要性の基準値などをベースにして判断して行われます。

ちなみに重要性の基準値は基本的には税引前当期純利益を基礎として算定するので、当該利益が数千億円単位となる超大規模法人ともなると、僅少許容金額が数億円で設定されることとなります。

  • 重要性の基準値:監査計画の策定時に決定した、財務諸表全体において重要であると判断する虚偽表示の金額
  • 手続き実施上の重要性:未修正の虚偽表示と未発見の虚偽表示の合計が重要性の基準値を上回る可能性を適切な低い水準に抑えるために、監査人が重要性の基準値より低い金額として設定する金額
  • 僅少許容金額:会計監査上金額的な重要性がないため、検証の対象としない、または、会計処理に誤りがあったとしても監査意見に影響を与えない範囲の金額

国税局による税務調査(調査部調査)における金額感

根拠を確認したわけではありませんが、調査部調査での検討金額の下限は1,000万円と聞いたことがあります。

よって、1,000万円以上の取引について、税務処理に誤りがあれば指摘をすることとなるのですが、会計監査とは違って、金額感について国税内部でルールを作っているというわけではないので、実際のところは担当者によりけりで、実際の指摘の状況を見てみると、おおむね100万円以上の取引であれば否認をしているように感じています。
(重加算税対象の場合は、もっと小さい金額でも否認しているようです。)

仮に1億円の誤りが発見された場合どうなるか?

たとえば、1億円の支払いについて税務上は資産の取得価額に含める必要があったが、それが費用となっていた場合、税率が30%とすると3千万円の未払法人税等が過少計上となっていることとなりますが、会計監査では、仮に僅少許容金額が5千万円であった場合、監査クライアントに税額計算誤りの内容が伝達される可能性はあるものの、仮に修正が行われなかったとしても、会計監査上、その誤りには金額的重要性がないことから、監査意見に影響を与えることは基本的にないと思われます。

それに対して、税務調査では、1億円の増差所得の指摘であれば、間違いなく

「よくやった!!」

といった部類の指摘となると思います。

このように両者の金額感には大きな違いがあるため、会計監査対応での金額感を税務調査で持ち出すと、たとえば、数千万円の誤りについて「金額的重要性がないから指摘事項ではなく指導事項としてください」といったところで、税務調査でその主張が通ることはまずありません。

税務調査経験後の会計監査

税務調査を経験してから会計監査を行うと、言葉を選ばずに言うと、会計監査はけっこう粗い検討で良いんだなぁと感じていました。

元国税ということで税金項目の検討を担当することが多かったのですが、必死に検討した結果、税額で数千万円の誤りを指摘したとしても、監査クライアントからは感謝されるものの、監査チームの主任からは

「なんでそんな少額の指摘のために時間をかけているの?」

という冷たい眼差しを向けられることばかりでした。

数億円単位の税額誤りなどそうそう起きないので、検討して誤りを発見したとしても、金額的重要性がないという結論になるのであれば、検討の対象から外してしまえばいいのではないか?という提案を何度もしたことがあるのですが、

「質的重要性がある」(税金計算は複雑で誤る可能性が高いということ)

ということがネックとなって、この提案が採用されることはありませんでした。

会計監査経験後の税務調査対応

反対にこの金額的重要性に慣れてから、税務調査対応をしていると、数千万円の追徴が少額に感じたりします。

まして、否認の内容が期ズレ(収益や費用の計上タイミングの誤り。長い目で見れば所得金額は同じ。)だったりすると、かなりうんざりしてしまいます。
(念のためですが、たとえどんなに大きな会社であっても、数千万円という税金は多額であると考えています。数千万円の利益を稼ぐためには、たくさんの従業員の方々の努力が必要であり、その結果として得られたものと考えているためです。)

実際に見聞きしたわけではありませんが、とある識者が税務調査による税収を効率的に上げるためには、中小企業の税務調査はやめて、大企業の税務調査により多くの調査官を導入すればよいといった趣旨のご発言をされていたとの話を聞いたことがあります。

確かに追徴税額は増えそうではありますが、税務当局が効率性の観点のみからそのような対応をすることはないと思いますし、当時は中小企業の税務調査(赤消しの棚卸計上漏れが指摘のほとんど)を担当していたので、そりゃないだろうと思ったのを覚えています。

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