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【法人税】申告期限の延長特例

法人税のはなし

申告期限の延長特例

お仕事の関係で、申告期限の延長特例について調べる機会がありました。

申告期限の延長特例とは、株主総会の開催のタイミングや会計監査の関係、連結納税(グループ通算制度)を適用している関係で、期末日から2か月以内という申告期限では申告が難しい状況にある法人に認められている制度です。

[手続名]定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請|国税庁 (nta.go.jp)

コロナなどの災害級の事象が生じたときに認められるものとは違います。

[手続名]災害による申告、納付等の期限延長申請|国税庁 (nta.go.jp)

根拠条文

根拠条文は下記のとおりです。

(確定申告書の提出期限の延長の特例)
第七十五条の二 第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書を提出すべき内国法人が、定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この条において「定款等」という。)の定めにより、又は当該内国法人に特別の事情があることにより、当該事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から二月以内に当該各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、納税地の所轄税務署長は、当該内国法人の申請に基づき、当該事業年度以後の各事業年度(残余財産の確定の日の属する事業年度を除く。以下この項及び次項において同じ。)の当該申告書の提出期限を一月間(次の各号に掲げる場合に該当する場合には、当該各号に定める期間)延長することができる。

税務署で申告書の入力事務などを担当していた頃に、延長特例が使えない場面に遭遇した記憶が、かすかにあったのですが、どうやら残余財産の確定時の申告の場合のようでした。
(括弧書きで「残余財産の確定の日の属する事業年度を除く」とされているためです。当時は、まだ、財産法によって清算所得を算定していたので、計算方法が違えば、延長の取扱いも変わるわなと思ったのを覚えています。)

被合併法人の合併時の申告にも延長されるのか

吸収合併などによって、法人が消滅した場合は、消滅した法人の申告を、吸収した側の法人が行います。
(確か、法人名欄に括弧書きで被合併法人名などを書いたと思います。)

その申告時にも申告期限の延長が認められるか?ということについて、今回調べました。

まず、消滅した法人の事業年度の取扱いの根拠条文は下記です。

(事業年度の特例)
第十四条 次の各号に掲げる事実が生じた場合には、その事実が生じた法人の事業年度は、前条第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める日に終了し、これに続く事業年度は、第二号又は第五号に掲げる事実が生じた場合を除き、同日の翌日から開始するものとする。
一 内国法人が事業年度の中途において解散(合併による解散を除く。)をしたこと その解散の日
二 法人が事業年度の中途において合併により解散したこと その合併の日の前日
~中略~
五 清算中の法人の残余財産が事業年度の中途において確定したこと その残余財産の確定の日

法人税法14条1項二号に、合併により解散した場合の規定があり、合併の日の前日に事業年度が終了するとされています。

次に、この事業年度について、申告期限の延長が認められるかですが、先に記載した法人税法75条の2を確認してみたところ、特にこの事業年度が除かれていませんでしたので、適用が可能ということとなります。

(確定申告書の提出期限の延長の特例)
第七十五条の二 第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書を提出すべき内国法人が、定款、寄附行為、規則、規約その他これらに準ずるもの(以下この条において「定款等」という。)の定めにより、又は当該内国法人に特別の事情があることにより、当該事業年度以後の各事業年度終了の日の翌日から二月以内に当該各事業年度の決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、納税地の所轄税務署長は、当該内国法人の申請に基づき、当該事業年度以後の各事業年度(残余財産の確定の日の属する事業年度を除く。以下この項及び次項において同じ。)の当該申告書の提出期限を一月間(次の各号に掲げる場合に該当する場合には、当該各号に定める期間)延長することができる。

残余財産の確定時の申告時には延長が受けられないと書きましたが、ちゃんと括弧書きで除かれていますし、事業年度の特例の条文においても、合併による解散(二号)と残余財産の確定(五号)が分けて定められています。

積極的に認められるという解説をしている書籍は少ない

条文で確認できたとしても、条文の読み違いや勘違い、条文のチェック漏れなどがあるかもしれないので、出来る限り同様の解説をしている書籍も確認するようにしています。

意外だったのですが、残余財産の確定時など、条文上明らかに除かれている場面について言及している書籍は見つかる反面、被合併法人の申告時に認められるかという、条文などにおいて積極的に書かれていない取扱いについて、言及してくれている書籍がなかなか見つかりませんでした。

困ったなぁ、と思いつつ、組織再編関係の書籍を漁っていたのですが、ふと、そういえば、申告関連全般を解説している書籍で解説されているのではないか、と思い調べてみたところ、そのものずばりの説明を見つけました。

〇合併した場合に提出する申告書
なお、被合併法人が確定申告書の提出期限の延長の特例(法75の2)を受けている場合には、合併の日の前日を含む事業年度の所得に係る確定申告の提出期限についても法律上延長されることになります。
(「令和4年版 法人税 決算と申告の実務」大蔵財務協会編 1610頁)

税務署にいた頃には、この手の質問は即答できたように思うのですが、やはり定期的に事例に触れていないと記憶が薄れて、調べてみないとよくわからないといった状態になってしまうように感じています。

日々精進。


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