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日米租税条約における双方居住者の取り扱い

所得税のはなし

個人が双方居住者に該当する場合の取り扱い

お仕事の関係で日米租税条約を改めてつぶさに調べる機会があり、おそらく実務ではまったく役に立たないと思われるのですが、リサーチ内容を記録しておこうと思います。

日米租税条約第4条(居住者)1

調べたのは、日米租税条約の双方居住者の規定です。

日本と米国を行ったり来たりしている方の居住者判定を行う際は、まずは、日米租税条約第4条(居住者)の1に規定する居住者に該当するかの判定を行います。

具体的には「当該一方の締結国の法令の下において、住所、居所、市民権、本店又は主たる事務所の所在地、法人の設立場所その他これらに類する基準により当該一方の締結国において課税を受けるべきものとされる者」であるかを判定するのですが、一般的にはこのルールでは、日米の両方で居住者に該当してしまうように思います。

日米租税条約第4条(居住者)2,3

次のステップとして、1の規定を当てはめた場合に日米双方の居住者となる方については、4条2または3の規定によっていずれの国の居住者に該当するか判定することとなります。

2は合衆国の市民又は永住権を認められた外国人(いわゆるグリーンカード保有者)についての居住者振り分け規定でして、3は合衆国の市民等の地位を有しない方が、双方居住者に該当する場合の居住者振り分け規定となります。

2の規定はシンプルで良いのですが、3の規定で一つ謎がありました。

(私が判定した方は、米国の市民権等を有するのかが現時点で得ている情報としては不明でしたので、あらゆる可能性を検証するということで、2と3の両方を検討しました。)

3の規定では、(a)(b)(c)(d)の順番で振り分けを行うのですが、この(c)が「その常用の住居を双方の締結国内に有する場合又はこれをいずれの締結国内にも有しない場合には、当該個人は、当該個人が国民である締結国の居住者とみなす」となっています。

この規定にいう「国民」が「合衆国の市民」をいうのであれば、「合衆国の市民」はすでに2の規定によって振り分けられており、3の規定で判定を行うことはないので、3(c)によって米国側に振り分けられることはないということになりそうに思います。

念のため「国民」の定義を調べてみたところ、

「日本国については、日本国の国籍を有するすべての個人及び日本国において施行されている法令によってその地位を与えられたすべての法人その他の団体」(第3条(j)(ⅰ))

合衆国については、合衆国の市民権を有するすべての個人及び合衆国において施行されている法令によってその地位を与えられたすべての法人、パートナーシップその他の団体」(第3条(j)(ⅱ))

とされていましたので、やはりそのような取り扱いとなっているようです。

米国籍の方はかならず米国の市民なのか?

一般的には米国籍の方は米国の市民にも該当するためか、日米租税条約の解説書などを見ると、3(c)の規定は国籍での判定と書かれているものもあったのですが、日米租税条約上での「国民」についての合衆国における定義を見ると、国籍での判定ではありませんし、厳密には、米国籍の方が必ずしも、米国の市民ではないようです。

(私は「国民である締結国」という意味を、国籍がある国と勘違いして、米国籍があっても、米国市民権を有していない人がいるのかもしれない、そういった人を想定した規定なのでは?とドツボにはまってしまいました。初めから定義の規定をチェックすればよかったと思います。なんだか悔しいので、下記にリサーチ結果を記載しています。)

下記のサイトの情報によると、サマワなどで両親が生まれ育った場合で、そのお子さんが米国で生まれた場合は、そのお子さんは、米国籍を有するものの、米国市民ではないようです。そのほかにも、グアムやフィリピンに住んでいらっしゃるご高齢の方などは、米国籍を有していらっしゃるものの、米国の市民ではないということもあるようでした。

(米国の公的機関の情報も調べてみたのですが、情報量が膨大だったので諦めました。よって、この情報の信ぴょう性はオーソライズされた情報で裏どりできておりませんので悪しからず。)

Who Are U.S. Nationals?

People who were born in the outlying possessions of the United States are U.S. nationals. These places include American Samoa and Swains Island. They don’t have the same rights as U.S. states but are under the protection of the U.S. government.

You might also be a U.S. national but not a U.S. citizen if both of your parents were born in American Samoa or Swains Island and they lived in the U.S. before you were born. You wouldn’t need to have been born in American Samoa or Swains Island to be a U.S. national.

In some cases, you might qualify to be considered a U.S. national even if only one of your parents was born in American Samoa or Swains Island and lived in the U.S. However, that parent would have to meet specific residency requirements.

Finally, there may be some elderly individuals who, if born in the Philippines or Guam, may still be considered U.S. Nationals. People born in Guam before 1950 or the Philippines before 1946 will have this status.

What’s the Difference Between a U.S. National and a U.S. Citizen?
Is there a difference between United States nationals and citizens? Yes! Find out what the differences are and why a national may wish to become a citizen.

気になったら調べて、一応は自己解決しておきたい

将来役に立つなどとは一切期待せず、自分の興味が赴くままに調べ、一応は自己解決をするようにしています。

「この情報が今後役に立つことはないだろうなぁ」なんて思いながら、いつもリサーチしているのですが、数年後など忘れた頃にひょいと聞かれたりしますので、なかなかやめられません。

この件も、またいつか忘れた頃にでも、質問されるのでしょうか。

日々精進。

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