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所得税法 なぜ「通常の給与に加算して受ける通勤手当」だけが非課税なのか?

所得税のはなし

会社から支給を受けるものは基本的にすべて給与所得に含まれる

最近、所得税にはまっているのですが、通勤手当が非課税所得(所得税法9条1項5号)として扱われるためには、

「通常の給与に加算して受ける通勤手当」

であることが必要とされています。

なぜに、

「加算して」

でないと、非課税所得として扱われないのかが、非常に気になりまして、少し調べてみたので、それについて少し書いてみます。

通勤手当も給与所得に含まれ得る

下記の裁決事例が「通常の給与に加算して」支給していなかったので、非課税所得として取り扱われなかった事例となります。

(平11.9.27裁決、裁決事例集No.58 23頁) | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所 (kfs.go.jp)

裁決の内容を見るに、納税者の方は「通勤手当」=「非課税」という考えをもっておられたのではないかと思われます。

所得税は、会社から支給を受けるありとあらゆるものをいったんは課税の箱に入れて、そこから、実費弁償の要素があるものなどで課税することにそぐわないものを除くといった考え方をしています。

この、「いったんは課税の箱に入ってしまう」という考え方は、クライアントの質問対応などをしていて、あまり浸透していない考え方なんだなと感じています。

所得税の専門書籍を読んでみると、昔は通勤手当の非課税規定はなく、通達による運用だったようでして、その頃は、まだ、この「いったんは課税の箱に入ってしまう」という考え方が浸透していたのかもしれませんが、時が経つにつれて、当然に非課税、という風にイメージが変わっていったのかなと思っています。

かなり昔で、かつ、通勤手当の非課税規定がなかった頃の事例ですが、通勤手当が給与であるか争われた事案もありました。

(最高裁 昭和37年8月10日第二小法廷判決)

053058_hanrei.pdf (courts.go.jp)

とはいえ、実費弁償の要素もあり

通勤手当であっても、「いったんは課税の箱に入ってしまう」という考え方は以上のとおりなのですが、ではなぜ、非課税とされうるのかについてですが、

端的にいうと、

「実費弁償だから」

ということのようです。

実費弁償とは、従業員の方が会社の業務に関する立替経費を、後日、経費申請して精算したりするかと思いますが、ざっくりというと、それのことです。

じゃあ、実費弁償だったら、どんなに遠くに住んでいたとしても、通勤手当が非課税となるのか(たとえば、東京にある会社にお勤めの方が沖縄のリゾート地に住んでいて、飛行機で通勤している場合。実際にやるとなると毎日大変そうですが。)というと、そんなことはありません。

「本当に沖縄に住む必要ありますか?」

「単に個人的な嗜好ではありませんか?」

という疑問を持たれてしまうわけですね。

とはいえ、東京圏がいい例ですが、

「東京にある会社にお勤めの方は皆さん、東京都区内に住むべきだ。」

みたいなことを言われたとしても、

「そんな経済的に不合理なことをおっしゃられても。。」

と思われるのではないかと思います。

そういった事情もあるので、「最も経済的かつ合理的と認められる」(所得税法施行令20条の2)ことを求めつつ、一定限度までは非課税とすることとしているようです。

なぜ「加算して」支給することを求めているのか?

これについては、専門書籍でも解説されていましたが、下記の裁決事例が端的に説明をしてくれていました。

(平20.6.19、裁決事例集No.75 176頁) | 公表裁決事例等の紹介 | 国税不服審判所 (kfs.go.jp)

ながながと、通勤手当がいったんは課税の箱に入ってしまうこと、とはいえ実費弁償のようなものであり課税にそぐわない場合があること、実費弁償といっても、個人的な嗜好によるものまでは非課税とされないことなどを書いてきましたが、要は通勤手当といっても、いろいろな考慮要素があるので、非課税として取り扱いたいのであれば、

「給与と明確に区分して支給」

して、

「使用者が実質的な負担者であるとみることができる実費弁償の性格が外見上も明らか」

にしてください、というのが、

「加算して」

支給することが求められた理由となります。

久々にまともにリサーチをしたような気がします。

昭和の初期の頃の判例を用いて、こう考えるんです!!みたいなことを書いていると、税法って、時代の流れとともに変わっていくべきものなのに、むかーーーーしから、変わっていないんだなぁと、改めて思いました。

日々精進。

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